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全国8000カ所の拠点給油所指定へ 熊本地震では営業停止相次ぐ

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全国8000カ所の拠点給油所指定へ 熊本地震では営業停止相次ぐ

熊本地震発生後、被災地のガソリンスタンドでは給油に並ぶ車の列ができた=4月18日、熊本県阿蘇市 熊本地震発生後、被災地のガソリンスタンドでは給油に並ぶ車の列ができた=4月18日、熊本県阿蘇市

 今年4月の熊本地震では、多くのガソリンスタンドが停電や在庫不足で営業停止に追い込まれた。経済産業省は、大規模災害で電力やガスの供給が途絶えた場合に備え、全国8千カ所のガソリンスタンドを拠点給油所に指定し、自家発電機の整備に乗り出す。半面、経営難から給油所は減り続けており、災害時対応の切り札とするにはまだ課題が多い。

 「地震発生後、自分で発電機を設置するまでの3日間、営業ができなかった。再開後もガソリンが不足しないよう、一回の給油量を制限していた」

 熊本県益城町にある給油所の従業員は、こう振り返った。

 当時、燃料供給の中心になったのは、国が指定した「中核サービスステーション(SS)」だった。石油元売り大手は中核SSに重点的にガソリンを届け、警察や消防などの緊急車両に供給した。避難所や病院、電源車への燃料配送拠点としても活用された。

 中核SSが整備されたきっかけは、平成23年3月の東日本大震災だ。幅広い地域で送電線やガス管、製油所が被災し、病院などで非常用発電機を動かす燃料が不足する事態が相次いだ。被害が大きかった仙台市など被災地の給油所には、住民が長蛇の列をつくった。

 対策として、全国で約1600カ所の中核SSが指定されたが「市町村単位でのカバー率はまだ3割程度」(全国石油商業組合連合会)とされる。

 また、給油の対象は緊急車両を想定し、所在地は公表されていない。

 ◆給油所過疎地

 経産省は全国8千カ所のガソリンスタンドを拠点給油所に指定し、自家発電機の購入費を全額補助する方針を固めた。災害時の給油に伴う混乱を解消するのが狙いで、所在地も可能な限り事前に公表する。

 熊本県内で給油所を運営する男性は「地震直後は緊急車両が優先されたが、一般のお客さんにも早く給油したかった」と語り、自家用車も対象となる今回の拠点整備を歓迎した。

 震災の被害が大きかった岩手県釜石市の防災担当者も「市町村では自家発電機の整備までは難しい。(拠点整備は)災害時に有効だと思う」と評価した。

 経産省は今後、拠点となる給油所を公募する。

 ただ、ガソリンの調達体制が十分ではない地域の中小事業者の協力がどの程度得られるかは不透明だ。

 給油所の減少も懸念される。需要縮小や価格競争による経営悪化で、27年度末の全国の給油所は約3万2千カ所と、ピーク時の6年度末からほぼ半減した。給油が受けられない「給油所過疎地」の存在も指摘されている。

 このままでは「災害時の燃料供給の担い手がいなくなる」(同連合会)と危機感は強いが、抜本的な解決策は見つかっていない。

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 熊本地震の給油所被災状況 経済産業省の推計によると、熊本県のガソリンスタンド777カ所(3月末時点)のうち、約100カ所が設備の損壊で稼働不能となり、ほかに約300カ所が停電により一時的に営業できなくなった。被害が甚大だった熊本県南阿蘇村では、村内9カ所のうち、営業を継続できたのは3カ所だった。