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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】脱原発テント裁判 判決無視を許すな

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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】
脱原発テント裁判 判決無視を許すな

 「他人の土地に勝手に立ち入ってはならない」-子供でもわかる当たり前のことを大(だい)の大人がやってはいけない。

 今から約5年前の平成23年9月、脱原発を訴える市民団体が、霞が関の経済産業省の敷地(国有地)内に勝手にテントを設置して国の原子力政策への抗議活動を開始した。その後、国は市民団体の立ち退きを求める訴訟を提起し、本年7月28日、ようやく、最高裁で国の勝訴判決が確定した。

 これによって、市民団体には、立ち退きと過去の土地使用料約1100万円の支払い、さらに実際に立ち退くまで1日当たり約2万1千円の制裁金の支払い(合計約3800万円)の義務が課されることとなった。

 ところが、判決確定後も、市民団体とその弁護団は、「脱原発の闘いの正当性が認められず遺憾である。最後まで闘い、任意で立ち退くことはしない」などと開き直り、テントを撤去せずに居座り続けた。

 やむなく、国は強制執行を申し立て、8月21日、執行官によってテントの撤去が行われ、違法なテント設置から約5年という長い年月を経て、ようやく国有地が正常化された。国有地を長年にわたって不法占拠するなどということは普通の日本人の感覚ではちょっと考えられないことである。

 1審、2審の判決は、いずれも、「国有地の占拠は表現の自由を超えている」「国が明け渡しを求めることは権利の乱用にあたらない。脱原発の意見表明の手段は他にもある」として、市民団体の主張を退けた。極めて常識的かつ妥当な判決である。

 もともと他人の土地への違法侵入であるから、警察の介入によって早期にテントを排除することも可能だったと思われるが、国は、「民事訴訟」という時間も費用もかかる道を選んだ。ただ、そのおかげで、最高裁によって、市民団体と弁護団の主張がいかに異常で不当なものであるかということを、はっきりと満天下に知らしめることができ、かえって国民の理解を得られたとも言える。「脱原発」を主張すること自体は自由だが、これを違法な手段で行えば著しく説得力を欠くということに彼らは思い至らなかったようである。

 市民団体の弁護団には元日弁連会長、国会議員など約150人もの弁護士が名を連ねているが、最高裁で判決が確定したにもかかわらず、公然と「判決には従わない」と言い放つなどしており、法律家として言語道断である。自分たちに都合のいい判決には従えと叫び、都合の悪い判決は無視する、というようなご都合主義は、司法制度への冒涜(ぼうとく)である。

 また、テントの強制撤去の際、脱原発を訴えてきた市民団体からは「覚悟はしていたけど悔しい」との声が聞かれたそうだが、悔しいのは我々国民の方である。国民の財産を長年にわたって違法に占拠されたうえに、約4900万円にも及ぶ損害金を全く回収できないのだから。残念ながら、現在の民事執行法では、判決で支払いを命じられても、その者に財産がなければ差し押さえることはできない。

 「脱原発」の名の下に、やりたい放題の違法行為を繰り返し、これを擁護してきた大人たちは、一体、どうやって、この責任を取るのであろうか?国には、是非とも、粘り強く、この損害金の取り立て・回収を行ってもらいたい。判決無視のゴネ得は許さない、との世論の高まりも必要である。日本は誇り高き法治国家なのである。

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【プロフィル】堀内恭彦

 ほりうち・やすひこ 昭和40年、福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校、九州大学法学部卒。弁護士法人堀内恭彦法律事務所代表。企業法務を中心に民事介入暴力対策、不当要求対策、企業防衛に詳しい。九州弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員長などを歴任。日本の伝統と文化を守る「創の会」世話人。趣味はラグビー。