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台風10号 記録的大雨、被害を拡大 岩手

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台風10号 記録的大雨、被害を拡大 岩手

 統計開始以来初めて東北地方の太平洋側に上陸した台風10号の襲来から一夜明けた31日、台風の直撃を受けた岩手県を中心に、記録的な大雨による河川の氾濫で11人が死亡し、2人が行方不明になるなど被害が拡大した。

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 川の氾濫で高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」から入所者とみられる9人が遺体で見つかった同県岩泉町。他にも1人が死亡し、2人が行方不明になった。役場の電話がつながらず、県は衛星電話で被害状況の確認を急いだ。

 同県久慈市は久慈川と長内川が氾濫した。2つの川に挟まれた中心部が広い範囲で冠水、1人が亡くなった。両河川は東日本大震災では津波の力を分散させて被害を最小限に抑える役割を果たしたが、今回は皮肉にも被害を大きくさせた。

 地元の町内会長を務める小泉寅男さん(77)は自宅の1階が浸水し、泥の掃き出しに追われた。「1階は泥だらけ。道路を水が川のように流れ、雨はゴーゴーと降っていた。ここに住んで30年になるが、あんな雨は初めて」と話した。

 同県釜石市橋野町では鵜住居川の水かさが増え、県道が約70メートルえぐられた。落石や倒木で通行止めになり、66世帯142人が孤立している。

 地元の町内会長、八幡哲夫さん(66)は「この辺りは高齢者が多く、寝たきりの人もいる。孤立状態では病院にも行けないし、救急車も呼べず、不安だ」と語った。

 同県大槌町では3つの仮設住宅で30戸近くが床上浸水した。陸前高田市高田町の西和野仮設住宅では約12メートルの大木が強風で倒れ、住宅2棟の屋根が一部壊れた。宮古市では市役所本庁舎1階が浸水した。

 岩手県のまとめによると、家屋の浸水や道路の冠水、土砂崩れにより、久慈市、岩泉町など8市町村で約700人(31日正午現在)が孤立状態になり、陸上自衛隊、県警などが救助活動を行っている。床上浸水は釜石市、大槌町など92戸9施設、床下浸水は遠野市など33戸1施設、暴風被害は盛岡市など27戸10施設であった。

 交通機関も乱れ、県内で国道や県道など計34路線61カ所が全面通行止めとなっている。JR東日本盛岡支社によると、31日は釜石線、八戸線、山田線が終日運転を見合わせた。

 同県によると、31日午前9時現在、宮古市、岩泉町など11市町村で計約4750回線の電話が不通となった。

 また、東北電力によると、東北6県で計9万4848戸が停電した。中でも青森、岩手両県が多く、31日午後6時現在で両県で1万4973戸が停電となっている。