産経ニュース

中部横断道の静岡-山梨間 トンネル工事難航 来年度開通に暗雲

地方 地方

記事詳細

更新


中部横断道の静岡-山梨間 トンネル工事難航 来年度開通に暗雲

 本県と山梨県などを結ぶ新たな幹線道路として、整備が進められている中部横断自動車道。全線開通すれば新東名高速道路と中央自動車道が接続されることになり、沿線の観光・物流の活性化や、災害時の緊急輸送路としての利用が期待されている。しかし、地盤が脆弱(ぜいじゃく)なため、工事区間中の約3分の2のトンネルで崩落や湧水などが発生し、掘削工事は難航。工程の見直しは必至で、来年度中を予定していた両県区間の開通にも暗雲が漂っている。

 ◆崩落、変形…遅れ懸念

 先月19日に山梨県庁(甲府市)で開かれた「中部横断自動車道連絡調整会議」では、事業主体の国土交通省と中日本高速道路から、静岡・山梨両県と沿線自治体に対し工事の進捗(しんちょく)状況が示された。

 それによると、新清水ジャンクション(JCT、静岡市清水区)-増穂インターチェンジ(IC、山梨県富士川町)間(約58・3キロ)で掘削工事が進む30トンネルのうち、18トンネルで崩落、6トンネルで断面の変形、5トンネルで湧水が発生。加えて21トンネルの掘削土から想定量を上回る自然由来の重金属が発見され、重金属を選別するための仮置き場を確保する必要に迫られている。

 進捗状況の公表を受け、県内からも中部横断道の開通時期の遅れを懸念する声が上がっている。川勝平太知事は「中部横断道は本県の南北軸となる重要な高規格幹線道路。県民の期待も高く、事業進捗について大変心配している」とするコメントを発表。静岡市の田辺信宏市長も、「観光需要の創出など波及効果は大きく、旧清水市の時代から大きな期待を寄せている」と早期の整備を求めた。

 現在静岡・山梨両県を結ぶ主要道路となっている国道52号は、雨量規制区間が6カ所あり、大雨の際にはしばしば通行止めになっている。大型車の通行量も多いが、山間地の地形的な制約から道路の拡幅は困難な状況だ。

 ◆1時間以上の短縮

 国交省甲府河川国道事務所の試算では、国道52号を経由した場合、静岡県庁から山梨県庁までの所要時間は約2時間45分だが、中部横断道が開通すれば約1時間40分と1時間以上の短縮が可能になるという。

 県内の工事区間を担当する中日本高速道路清水工事事務所によると、山梨県境に近い静岡市清水区中河内地区の樽峠トンネル(仮称)でも崩落が発生。「想定以上に地盤がもろい」ことが原因で、来年度中の開通を予定していた新清水JCT-六郷IC(山梨県市川三郷町)間について、「検討が必要な状況」として開通時期を遅らせる方針だ。掘削工事が難航している現状を踏まえ、同事務所の山岸将人工務課長は「掘削土の仮置き場の確保など沿線自治体の協力も得ながら、早急に工程の検討を進めたい」と話している。