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レコード人気高まる ジャケットの芸術性と時代感 展覧会、貸し出しなど好評

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レコード人気高まる ジャケットの芸術性と時代感 展覧会、貸し出しなど好評

 平成21年に過去最低の約10万枚にまで落ち込んだレコードの国内生産枚数が昨年は約66万枚に復活(日本レコード協会調べ)。中古レコードへの関心も高まっている。図書館での貸し出し、展覧会も好評だ。音楽がデジタルデータ化する前の確かな「物」として、存在感を示している。(重松明子)

 文京区立小石川図書館のレコード室に入ると、クリフォード・ブラウン、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイビス…。定番として今も愛され続けるジャズ黄金期のLPジャケットが並び、ジャズバーでも開けそうなクールなたたずまいである。「約2万枚は、都内の公共図書館でも断トツ1位の枚数。時代を切り取る歴史資料として、大切に保存公開しています」と山田万知代館長(45)。

 1950年代からCDへの過渡期の80年代半ばまでにリリースされたクラシック、ロック、ポップス、歌謡曲、童謡…と幅広いラインアップ。区民でなくても1人10枚まで借りられ、昨年度は約5千点を貸し出した。

 改めて心ひかれるのは、LPジャケットの芸術性と時代感だ。伝説のデュオ、グレープ「三年坂」(昭和51年)のアルバムを開くと、バイオリンを弾くさだまさしが長髪でとてもスリム。「懐かしい!と、友人同士で盛り上がる姿も見かけます」と山田館長。

 館内でも聴くことができる。松田聖子の初期のベスト盤に針を落とすと、プツプツというノイズを打ち消すようにツヤと伸びのある歌声が響く。デジタルのように歌唱力がごまかせないのもいい。

 同館では関心の高まりを受け22日~25日の各午後2~4時、「時代の名曲たち」と題したレコードイベントを開く(入場無料、出入り自由)。

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 一方、東急田園都市線三軒茶屋駅前の「生活工房」(世田谷区)では、「日本のポータブル・レコード・プレイヤー」展を28日まで開催中。昭和40年代を中心に大量生産された、おもちゃのような100台を展示している。

 日中国交正常化(昭和47年)を象徴するパンダの顔形プレイヤーは耳の黒い部分がマイク。鍵盤付きのものなど多彩だ。

 所有者は田口史人さん(48)。「子供のころ、のぞき込むように音楽を聴いていた小さな“箱”は、日本独自に発展・普及したもの。あのころの日本の勢いを象徴しています」。田口さんは、JR中央線高円寺駅近くで中古レコードを扱う「円盤」(杉並区)を営み、全国各地でレコードイベントを開催。2、3年前から急に依頼が増え、今は月4~5回ペースで出張している。

 「魅力は、針を置く儀式のような神秘性と肌感覚の温かみ。最近のレコード人気も決してマニアックなものではなく、古いプレイヤーを引っ張り出して、『美空ひばりある?』なんて尋ねてくるお年寄りもいます。レコードはなくならない」と田口さんは確信している。