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【ZOOM東北 秋田発】黒塗り、保護者に不信感 能代松陽高いじめ認定の調査報告書

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【ZOOM東北 秋田発】
黒塗り、保護者に不信感 能代松陽高いじめ認定の調査報告書

 秋田県立能代松陽高(能代市)に通っていた女子生徒(17)がいじめを受けたと訴えて不登校になり、転校した問題で、県教委が公表した第三者調査機関「県いじめ問題調査委員会」(委員長・高橋重剛弁護士)の調査報告書は大半が黒塗りだった。女子生徒の保護者は対応に不信感を募らせる一方だ。(渡辺浩)

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 ◆4分の3隠す

 調査委は6月22日に県教委に報告書を提出していたが、県教委は3週間以上たった7月14日の教育委員会会議と15日の県議会教育公安委員会で公表した。

 報告書は表紙と目次を除いて31ページあるが、公表されたのは10ページ分。県教委は「21ページ分は全て黒塗りなので飛ばした」と説明。10ページ分の約4分の1が黒塗りされており、全体の4分の3を隠していることになる。

 公表されている部分は「いじめの定義」「学校の安全義務」など一般論と「正確な情報を共有することが重要である」などとする提言だけ。

 一緒に公表された報告書概要は「事案の概要」で「いじめ防止対策推進法が定めるいじめがあったと認定することが適当」とした上で、学校側の対応を批判している=別掲=が、能代松陽高で何が起きたのかは全く分からない。

 米田進教育長は「被害生徒も加害者とされた生徒もまだ高3なので配慮した」と説明している。

 ◆教育委員、県議も

 教育委員会会議では教育委員にさえ黒塗り報告書が配られた。長岐和行委員(弁護士)は「生徒の心情に配慮するのは当然だが、どのようなことが起こったのか分からないと再発防止もできない」と不満を述べたが、事務局側は黒塗り部分を明らかにしなかった。

 教育専門家の判断に偏らないようにという教育委員会のレイマンコントロール(素人による統制)は無視され、教育委員が「お飾り」である実態を示した。

 議会も軽視された。県教委は翌日の県議会教育公安委員会にも同じ報告書を配布し、委員から疑問の声が上がった。

 女子生徒の父親は「黒塗りでは内容を精査できない」とした上で、「加害者側の言い分に対する娘への問い合わせがなかった。事実関係の調査が不十分だ」として、調査の在り方自体に疑問を呈している。

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 ■調査報告書の「事案の概要」

 1 県北地区の県立高等学校において、いじめ防止対策推進法に定めるいじめがあったと認定することが適当であると判断する。

 2 当該高等学校については、次のような課題が見られた。

 (1)いじめ防止対策の組織が作られていたが、機能していなかった。

 (2)部活動におけるいじめ防止対策が意識されておらず、学校のいじめ防止対策のしくみとの接合がなされていなかった。

 (3)事実関係の調査が不十分であった。

 (4)一部の教員を除き、被害生徒を支援する意識が乏しかった。

 (5)被害生徒と保護者への情報提供が不十分であった。

 (6)学校の対応が場当たり的で、一丸となって対応する体制が取られないまま時間が経過し、被害生徒と保護者の不信感は募った。

 3 県教育委員会については、次のような課題が見られた。

 (1)学校の説明にとらわれ、状況を的確に把握できないまま時間が経過した。

 (2)学校との認識の共有を的確に行うことができなかった。