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【群馬大病院患者死亡】「院内に協力態勢なし」 改革委提言、執刀医ら9人処分

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【群馬大病院患者死亡】
「院内に協力態勢なし」 改革委提言、執刀医ら9人処分

 群馬大病院で同じ男性医師の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、群馬大は2日、東京都内で会見し、執刀した男性医師や元上司の教授ら計9人の処分を発表。同時に、診療科の運営が閉鎖的・属人的でチーム医療をはじめ患者本位の医療態勢がとられていなかったとする同病院改革委員会(委員長・木村孟元東工大学長)の最終提言を受け取った。群馬大の平塚浩士学長は「信頼回復に努めます」と語った。

 処分は、男性医師を懲戒解雇相当に、元上司の教授(旧第2外科診療科長)を諭旨解雇とするなど当時の大学理事や副病院長ら計9人が対象。いずれも7月29日付。男性医師は既に退職している。平塚学長は医師の処分理由を診療録の内容が乏しく患者への説明も不十分だったと説明、教授にも監督責任があるとした。

 一方、最終提言は、木村委員長が平塚学長に手渡した。それによると、死亡事例が繰り返された背景として、医師の3分の2が群馬大出身者で占められ、先輩や恩師に発言しにくい風土と、県内唯一の大学病院として地域医療の頂点にある独特なヒエラルキーを指摘。当該診療科で、医師が真の意味での患者本位の医療を提供する視点を備えられなかったとした。

 その上で、院内に協力態勢が構築されず、そうした状況を病院も問題と認識しないまま医療の質の低下を引き起こしたと言及。執刀医には「医療従事者としての適格性を疑わざるを得ない」、元上司には死亡事例への認識が低く、手術に必ずしも参加せず「指導力を発揮しなかった」とした。

 こうした指摘を踏まえ、提言では、病院の持つ問題点を「低質な医療が提供され続けたことを病院が問題として認識せず、対策が講じられなかった」と厳しく批判、今後は「高度で良質な医療を提供するための確固たる態勢を構築する特段の努力が必要」とした。

 さらに、「安全で質の高い医療態勢の確保」「管理態勢・組織改革」「倫理・意識(風土)改革」の3点の改善を具体的に求めた。その中では、改善への取り組みの進捗状況を病院コンプライアンス委員会によって定期的に精査し、速やかに社会に公表することも求めている。これを受け遺族会は2日夕、さらなる調査を求める要望書を平塚学長に提出。父親が死亡した男性は「処分内容にはふに落ちない点もある。死亡の経緯を医師や教授に直接説明してほしい」と語った。

 ◇知事「再生へ後押し」

 群大病院の事故調査委員会報告書と改革委員会提言を受け、大沢正明知事は2日、「群大病院には、事故調査委員会の報告書や改革委員会の提言を真摯(しんし)に受け止め、ご遺族、ご家族に対し、説明責任をしっかり果たし、誠実に対応していただきたい」と求めた上で、「地域医療をリードする最後の砦(とりで)の病院として再生してもらいたい。県としては、引き続き、群大病院の改革に向けた取り組みを後押ししていきたい」とのコメントを発表した。