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【与謝野晶子短歌文学賞】特別鼎談 歌に託した富士山への思い

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【与謝野晶子短歌文学賞】
特別鼎談 歌に託した富士山への思い

 情熱の歌人」として、今も多くのファンに愛されている与謝野晶子の業績を顕彰する「与謝野晶子短歌文学賞」。22回目となった今年は、甲府市貢川の県立文学館で表彰式が行われた。東日本での開催は今回が初めて。約250人の短歌愛好家が参加し、昇仙峡など県内各地を訪ねた晶子に思いをはせた。表彰式に先立ち、富士山をテーマとした鼎談(ていだん)も行われ、愛好家には楽しい催しとなった。

 同賞の表彰式は産経新聞社主催、県教育委員会共催、EH株式会社特別協賛により行われた。

 鼎談は「富士山はどう詠まれてきたのだろうか」をテーマに、同館館長の三枝昂之氏、永田和宏氏、穂村弘氏が新旧の短歌で描かれた富士山について、見解を語り合った。

 甲府出身の三枝氏が「富士山は登るものでなく、眺めるものだ」と切り出し、会場を沸かせた。

 三枝氏は飛行機の窓外に広がる雲海から唯一、頭を出した富士山を見た体験を紹介。自らの作品に登場する甲府市の荒川沿いから眺めた富士を、日常を忘れて「心をシェイプアップさせる」と述べた。

 永田氏は、静岡側から早春の富士を詠んだ与謝野晶子の歌や、車窓の富士に脱帽する田谷鋭の作品などを紹介し、日常と非日常における日本人の富士への安心感と畏敬の念について語った。

 穂村氏は寒い朝にらくだのシャツ姿で過ごす男が富士を眺める歌を詠んだ岡井隆の歌を取り上げ、「俗」と富士山の「聖」のバランスの良さを評価した。

 日本人のだれにも明確にイメージできるだけに、最近の短歌では、富士をあまり取り上げない傾向があるというが、3氏は「今後、どんな詠まれ方をするか注目したい」と語り合った。