産経ニュース

【突破力】グリーンランドリゾート(荒尾市)

地方 地方

記事詳細

更新

【突破力】
グリーンランドリゾート(荒尾市)

半世紀にわたって多くの来場者に愛されてきた遊園地、グリーンランド 半世紀にわたって多くの来場者に愛されてきた遊園地、グリーンランド

 ■「歯をくいしばって利益を出す」

 遊園地「グリーンランド」は、熊本県荒尾市という福岡県との県境の地方にありながら、バブル崩壊後の景気低迷も乗り切り、50年間、レジャー施設として、来園者を笑顔にしてきた。

 開園準備が始まる午前8時半。運営会社グリーンランドリゾートの江里口(えりぐち)俊文社長(69)は、スタッフと同じカラフルな制服で、園内を歩く。

 園内のアトラクション数は81機種で日本一を誇る。

 スタッフは施設の塗装や、花壇づくり、ベンチの設置に精を出す。「お客さんが感動する世界は、業者任せにしない。自分たちで創り上げる」。江里口氏も剪定(せんてい)ばさみやノコギリを手に、立ち木の伸びすぎた枝を切る。

 「もうかってるか?」。江里口氏はスタッフに声をかける。企業の使命は稼ぐこと。売り上げを伸ばし、利益を得ることがスタッフを元気にし、地域を盛り上げる。平成13年の社長就任以来、こう信じる。

                × × × 

 かつての名称は「三井グリーンランド」だった。

 昭和41年、三井鉱山(現日本コークス工業)が、社有地を活用し、観光果樹園として開業した。

 三井鉱山は明治以来、荒尾市から福岡県大牟田市などにまたがる「三井三池炭鉱」を運営した。戦後、石炭供給会社として復興の一翼を担った。

 園内にも少しずつ遊具が増え、巨大遊園地へと成長していった。

 ところが、石炭産業の斜陽化で三井鉱山は経営再建を余儀なくされた。平成17年、保有するグリーンランド株の大半を売却することを決めた。

 九州を代表する遊園地は、岐路に立たされた。

 江里口氏は新たな支援企業探しに奔走した。「信頼できる企業にお願いできなければ、園内が大きく変わるかもしれない。そうなればスタッフも苦しむ」

 複数の地場企業の経営者を訪ね歩いた。その一つに西部ガスがあった。頭を下げる江里口氏に、西部ガス側は、筆頭株主となり株式を長期保有する意思を伝えた。

 「九州を代表する企業が応えてくれ、本当にありがたかった。株主に迷惑をかけたらいかん。歯を食いしばってでも、利益をきちんと出す」

 しかし、遊園地の集客は気象条件や景気に、大きく左右される。

 今年4月、熊本県は地震に見舞われた。震源からは遠く、遊園地に被害はなかったが、ゴールデンウイークの入場者数は過去に例がないほど落ち込んだ。遊園地は九州のほぼ中央に位置する。九州道が一時寸断されたことや風評被害もあった。

 地震に限らず、夏の集客時に台風が襲うことも少なくない。少子高齢化など長期的な社会変化も経営に影響を与える。

 変動する来園者を見据え、慎重な投資姿勢を続けてきた。外部企業の参入も促した。日本一のアトラクション数も、こうした結果に過ぎないという。

 身の丈にあった投資が、長寿の理由の一つだといえる。

                 × × × 

 長寿のもう一つの理由がスタッフだ。

 入園者のうちリピーターが6割を占める。今、三世代が楽しめる遊園地への進化を目指し、知恵を絞る。「また行きたい」と思ってもらえるサービスに、社員をはじめスタッフの気概は欠かせない。

 入社式で社長の訓示はない。その代わり、関係者を集めたセレモニーで新入社員はステージに上がる。そこでウルトラマンや怪獣と戦わせる。新入社員はこうした“洗礼”を受け、レジャー施設で働く自覚を持つという。

 今月23日に開園50年を迎える。今、イベント充実に取り組んでいる。演奏ができる吹奏楽部出身者や、漫才ができる社員もいる。こうした社員の力を生かし、温かみあるイベントを作り上げる。

 江里口氏は最近、園内を歩きながら、樹木が密集するエリアにウッドデッキを造ることを思いついた。子供と母親が遊んでいる間、父親がビールを飲める場所にする構想という。

 「名付けて『父親あずかります』。いいアイデアでしょう!」。にやりと笑った。(九州総局 高瀬真由子)

                   ◇

 昭和39年、三井三池開発株式会社として設立。遊園地に加えゴルフ場、ホテルなどの経営を手がける。平成18年、「グリーンランドリゾート」に商号変更。平成27年12月期決算の売上高は79億円、最終利益は過去10年で最高の2億8000万円だった。資本金は41億8000万円。社員106人。熊本県荒尾市下井手1616。