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熊本地震3カ月 3度の災害乗り越え再開 阿蘇の温泉旅館社長奔走

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熊本地震3カ月 3度の災害乗り越え再開 阿蘇の温泉旅館社長奔走

掘り直した温泉の泉源の前で、復旧への思いを語る「蘇山郷」の永田祐介さん 掘り直した温泉の泉源の前で、復旧への思いを語る「蘇山郷」の永田祐介さん

 与謝野鉄幹、晶子夫妻ら歌人や文豪が訪れたことで知られる熊本県阿蘇市の内牧温泉は平成24年7月の九州北部豪雨、26年11月の阿蘇山マグマ噴火で打撃を受け、今年4月の熊本地震に襲われた。湯が出なくなった旅館「蘇山郷」の3代目社長、永田祐介さん(43)は「廃業の選択肢はない」と復旧に奔走した。本震から3カ月となる16日に営業を再開する。

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 旅館は元々、曽祖父の巳平さん(故人)が昭和初期に建てた自宅だ。和歌をたしなんだ巳平さんは与謝野鉄幹、晶子夫妻を招待した。その後、祖父の珠一さん(故人)が改装、戦後に旅館業を始めた。夫妻が泊まった部屋は残した。

 永田さんは箱根のホテル勤務を経て旅館の運営に携わり、6年前に父、忠彦さん(74)から社長を継いだ。九州北部豪雨に遭ったのは就任から2年後。道路にあふれた泥水が旅館に押し寄せ、2階建て別館が床上80センチまで浸水した。

 「とにかくお客さんに泊まってもらわないと」。苦渋の決断で10部屋あった別館を取り壊し、本館だけで再開した。

 「乗り越えた」と安堵したのもつかの間、阿蘇山で21年ぶりとなるマグマ噴火が発生。風評被害で外国人客を中心にキャンセルが相次いだ。売り上げは3カ月間にわたって2~3割減となった。

 その後、外国人客が戻り、27年は過去最高の売り上げとなったが、熊本地震で状況は暗転した。

 本震で旅館は停電。壁にはひびが入り、床もゆがんだ。すぐに休業を決めた。3日後に電気は復旧したが、湯が出なかった。配管のゆがみが原因とみられた。

 別の地点で温泉を掘り直すと決意した。手続きを簡素化するように、県に何度も陳情した。6月18日、地下約150メートルから温泉が湧き出した。

 「とにかく温泉に来てもらい、安心して阿蘇を楽しめたことを広めてほしい」と語った。