産経ニュース

【参院選 神奈川】選択への視点(1)「憲法」

地方 地方

記事詳細

更新

【参院選 神奈川】
選択への視点(1)「憲法」

 安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の是非などを問う参院選。憲法改正や女性が活躍できる社会づくりなど、他にも問われるべき課題は多い。わが国の進路はどうあるべきなのか。各分野の専門家に「選択への視点」を聞いた。(参院選取材班)

                   ◇

 ■国際平和へ改正は不可避 静岡県立大特任教授・小川和久氏(70)

 法律や制度は、常に完成度を高めていかなければ形骸化は避けられない。憲法も同じで、国際平和に対する日本の責任と役割が大きくなっている今、改正もしくは、解釈や政策判断の変更などをしなければ、憲法の基本原理である国際平和を実現することが難しいのは明らかだ。「責任放棄」と批判されても仕方がないだろう。

 護憲派の学者らに問いかけてきたのは、「9条が憲法を規定しているのではなく、前文が憲法の性格を決めている」ということだ。前文では基本原理として国民主権、基本的人権、平和主義の3点を掲げているが、9条は前文の平和主義と齟齬(そご)を来している。だから、9条こそ憲法違反だと思っている。

 平和主義について、前文は「日本は世界の平和実現に向けて行動することを誓う」との趣旨を示しているが、その一方で9条は「戦争と武力の行使を国際紛争を解決する手段として放棄する」としている。この矛盾は放置できない。

 国際平和を実現するには、国連の平和維持活動に部隊を派遣できるレベルの軍事組織を持っていなければならない。9条通りだと、自衛隊の存在自体が憲法違反ということになる。

 私は9条について、基本原理と矛盾しない条文にすべきだと考えている。海外で本格的な軍事行動をできない構造の軍事組織を持つことで、侵略戦争をしないと明記することは可能だ。そうすれば国連の平和維持活動などは問題なくなる。

 国際的に見れば、憲法改正に正面から取り組む国もあれば、現状に合うように解釈や政策判断を変えていく国もある。平成26年7月に、安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、野党は「解釈改憲だ」と非難した。しかし、日本は憲法が容認するからこそ日米安全保障条約を結び、国連にも加盟した。その前提で集団的自衛権という権利を行使する政策判断をしたのだ。新たな政策判断を「解釈改憲」だと非難するのではなく、肯定的に捉えることも必要だろう。

 そこで初めて、日本は思考停止から抜け出すことができ、世界から平和国家として信頼されるようになるはずだ。

                   ◇

【プロフィル】小川和久

 おがわ・かずひさ 陸上自衛隊生徒教育隊・航空学校修了。湘南高校通信制卒。同志社大神学部中退。地方紙記者などを経て、軍事アナリストとして独立。内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。平成24年から現職。熊本県出身、鎌倉市育ち。