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地盤工学会論文賞、関門港湾建設の湯氏受賞 浚渫土活用に新たな技術 山口

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地盤工学会論文賞、関門港湾建設の湯氏受賞 浚渫土活用に新たな技術 山口

地盤工学会論文賞の表彰状を手に笑顔を見せる湯怡新室長=山口県下関市 地盤工学会論文賞の表彰状を手に笑顔を見せる湯怡新室長=山口県下関市

 浚渫(しゅんせつ)工事など海洋土木を専門とする関門港湾建設(山口県下関市)の湯怡新(たん・いしん)・地盤環境研究室室長(53)が、今月開かれた地盤工学会総会で平成27年度の地盤工学会論文賞を受けた。同賞の受賞者は大手ゼネコンや有名大学教授が大半で、地方企業の受賞は珍しいという。安倍晋三首相が掲げる地方創生が、そのおひざ元からも実現した形だ。(菊池昭光)

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 世界的にも権威があるとされる地盤工学の論文集「ソイルス・アンド・ファンデーションズ」に発表した「プレミックス工法」に関する英文の論文が、高く評価された。

 同工法は、海底や川底をさらい、土を堀り出した後、異物を除去・破砕。土にセメントなど固化剤を混合した後、地盤改良の建設資材に再利用する。関門港湾建設が開発し、独自技術を持つ。

 ただ、浚渫した土は水の割合(含水率)や粒子の大きさが異なり、どういった分量のセメントを混合させれば、最も有効になるかを判断するのが難しく、現場の感覚に頼る部分が多かった。

 今回の論文では、浚渫土の土質と、添加するセメントの分量、固まるスピードと強度の関係を数値化した。浚渫土に、どれほどのセメントを混合すれば最良の強度が得られるかが、推定できるようになったという。

 こうした点が高く評価され、地盤工学会論文賞に選ばれた。同賞は「企業だったら実績一覧に、個人だったら受賞歴に掲載されるほど業界では有名な賞。地方企業からの受賞は珍しい」(地盤工学会)という。

 湯氏は「浚渫土はほぼ永久にあり、今回の理論は地震対策にも有効に活用できる。また、東南アジアなど、インフラ整備が活発になっている海外でも使える」と語った。

 湯氏は昭和61年、中国の国費留学生として来日し、横浜国立大大学院で博士号を取得。民間企業や旧運輸省港湾技術研究所を経て関門港湾建設に入社した。平成13年に日本国籍を取得している。