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【熊本地震】県内文化施設3割休館 「心の復興」へ再開急務

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【熊本地震】
県内文化施設3割休館 「心の復興」へ再開急務

損傷箇所を点検する熊本県立劇場のスタッフ=熊本市中央区 損傷箇所を点検する熊本県立劇場のスタッフ=熊本市中央区

 演劇やコンサート用のホールなどを備えた熊本県内の公立の文化施設全75館のうち、約3割の22館が熊本地震の影響で休館している。こうした文化施設は、東日本大震災の際に、生活やインフラ復旧の次に求められる「心の復興」を担う場と位置付けられた。修復が急がれるが、損傷が激しく再開の見通しが立たない施設も多い。

 熊本県によると、文化施設は県内34市町村にある。6月1日現在で開館しているのは39館、会議室の提供など一部開館は14館だった。休館の22館中、2館では被害がなかったものの、避難所として使われており、再開できていない。

 熊本市民会館では大ホール(定員1591人)のつり天井の部材が客席に落ちた。GACKTさんやナオト・インティライミさんら人気アーティストのコンサートが中止となり、復旧工事開始のめども立っていない。

 東日本大震災でつり天井の落下が相次いだため国土交通省は、平成26年に建築基準法施行令を改正した。会館は落下防止用ネットの設置など対策を講じる必要があったが、増改築時に対応すればよく、未着手だった。

 定員1810人のコンサートホールがある熊本県立劇場(熊本市)では外壁の損傷が大きく、4月14日の前震から休館が続く。危険箇所の応急工事を進め、8月25日に再開する見通しだが、7月下旬の県吹奏楽コンクールなど多くのイベントの開催を見送った。担当者は「夏休みには間に合わせたかった。子供の心の復興に寄与できず、歯がゆい」と嘆いた。

 東北文化学園大(仙台市)の志賀野桂一特任教授(文化政策学)は「一瞬でも被災の悲しみを忘れさせてくれるのが芸術だ」と指摘。東日本大震災でも、観劇で子供が笑顔を取り戻した事例があったという。「有事こそ文化施設の役割は膨らむ。早期再開が望まれる」と語った。