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【2016参院選】18歳選挙権 若者の意見、反映するチャンス

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【2016参院選】
18歳選挙権 若者の意見、反映するチャンス

 公職選挙法改正で、22日公示された参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた。これまで20代の投票率は60代の半分程度とされてきたが、教育や働き方、子育て支援策など若い世代を取り巻く重要な政治課題は多い。若者の意見が反映されるきっかけになるのか。日本や地域の将来を担う若者は選挙や政治にどう向き合うのか。茨城、栃木、群馬の3県の10代の声を聞いた。

 ◆茨城

 茨城GG・臼井聖人(まさと)選手(19)

 「実感はまだありませんが、投票するからには責任を持って、ちゃんと選ばないといけないと思います」

 社会人野球のクラブチーム「茨城ゴールデンゴールズ(GG)」に所属する臼井聖人選手(19)はそう語った。いつもは白球を追うその真摯(しんし)なまなざしが、今は参院選へと向けられている。

 茨城県土浦市出身。小学1年から野球を始め、県立石岡一高(同県石岡市)で甲子園出場を目指し、青春を送った。「高校までと思っていたが、引退後に後輩の試合を見ていたら、またやりたくなった」と、茨城GGのトライアウトに挑戦し、3倍の倍率をくぐり抜けて見事合格。背番号12番、捕手兼外野手として活躍している。

 県立農業大学校(同県茨城町)果樹コース2年として、学生の顔も持つ臼井選手。「同級生には農家の子も多く、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のことはよく会話に出てくる」という。「まだ勉強不足でよく分からないけど、農家には大きな影響があるんだろうな」と考えている。

 選挙権年齢引き下げについては「若者の意見が反映される大きなチャンス。10~20代がこれから社会に出て活躍する番になる」と語る。投票にももちろん行くつもりだ。「若い世代に目を向けた政策も考えてほしい」と要望する。

 同時に同世代に対してはこんなメッセージを送る。

 「社会がこれからどうなっていくかに関心をもってほしい」

 ◆栃木

 白鴎大2年・高木隆寛さん(19)

 「今の政治をみていると、高齢者向けの政策ばかり。若者にも目を向けてほしい」。白鴎大2年の高木隆寛さん(19)は、同大の学生でつくる選挙啓発団体「栃っ子!選挙推進プロジェクト」(TEP)で若い世代に選挙へ行くよう呼びかけている。若者が選挙に行かない限り政治状況が変わらないことが分かっているからだ。ただ、なかなか伝わらない。

 栃木県大田原市出身。高校2年の夏、平成25年参院選の投開票日翌日の報道で20、30代の投票率の低さを知り、愕然(がくぜん)とした。「若い人が選挙に行かなくなったら、まずいことになる」。危機感を抱いた。TEPがあることも同大を受験した動機だ。

 TEPは学内の壁新聞や、県や市の選管と協力した活動で啓発を続けている。高木さんは、昨年12月の那須塩原市長選では、同市内のショッピングセンター前で啓発用のポケットティッシュ配りなどに参加。「若い人も高齢者も分け隔てなく受け取ってくれた」と若い世代が特別悪い反応を示さなかった。

 若者が投票に行かない気持ちをこう代弁する。「選挙権年齢が引き下げられたのはいいが、いざ投票するとなるとどう責任を取って良いか分からない。未成年なので…」。少年法や飲酒、喫煙に関し民法での成人年齢は「20歳」。18、19歳の社会的責任の所在は“不完全”。若者の立ち位置の不安定さを指摘する。

 ◆群馬

 県立高崎高3年 小高広大さん(17)

 「高校生が地元のことを思い、主体的に地域に関わる」

 群馬県高校生会議の県立高崎高3年、小高広大さん(17)が目指しているのは、議論や交流イベントなどを通じて、県内の高校生が主体的な若者へと成長していくことだ。

 参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、一部の高校生も票を投じることになるが、「同級生のほとんどは選挙に関心を示さず、県内の候補者が誰かすら知らないのが現実だ」と語る。

 学校では主権者教育の授業も行われているが、「投票に行くこと」が目的になり、候補者の主張を比較し違いを検討するといった考えるプロセスが抜け落ちているように思える。

 政府や自治体も有名芸能人を広告塔にするなど“あの手この手”で若者を選挙に行かせようとしているが、「それがかえって若者をばかにしているようにも感じられる」と憤りを隠さない。

 「このままでは高校生が“とりあえず”投票することになってしまうのではないか」

 こうした危機感から、学校外で世代を超えた交流イベントを始めた。政治のことを身近に感じ、当事者意識を持つことが、誰に投票するかを真剣に考えるきっかけになると信じているからだ。

 日本の政治状況は若者よりも高齢者の意見が反映されやすい「シルバーデモクラシー」などと揶揄(やゆ)される。「選挙権年齢の引き下げで注目が集まる今こそ、若者の意見をしっかりと政治に反映させていきたい」と思いを語った。