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参院選きょう公示 若林氏と杉尾氏、討論会で舌戦 長野

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参院選きょう公示 若林氏と杉尾氏、討論会で舌戦 長野

 第24回参院選は22日、公示される。長野選挙区(改選数1)には自民党現職の若林健太氏(52)、民進党新人の杉尾秀哉氏(58)、幸福実現党新人の及川幸久氏(56)が立候補を予定する。投開票は7月10日。公示に先立ち立候補予定者の公開討論会(日本青年会議所長野ブロック協議会主催)が20日夜、松本市で開かれ、若林、杉尾両氏がアベノミクスや安全保障、憲法改正などをめぐって論戦を展開した。及川氏は欠席した。討論会での主なテーマのやりとりを報告する。

 ◆消費増税再延期

 杉尾秀哉氏 安倍晋三首相は再延期を表明したが、なぜ2年半なのか。「新しい判断」という一言で公約を反故にしたのはなぜか。本当に手段は消費増税だけなのか。富裕層と言われる人々に対して所得税、法人税、資産課税などさまざまな課税手段を考えるべき。今のままでは財政が破綻するのは明らかだ。

 若林健太氏 高齢化の今日、社会保障を充実させるために消費増税は避けられないということで粛々と進められてきた。経済は生き物であり、約束といって杓子定規にとらえず、臨機応変に決断した首相は間違っていない。

 ◆アベノミクス

 杉尾氏 もともと円安のための政策であるアベノミクスは行き詰まっている。円高、株安に向かう中、3年半のアベノミクスで広がった格差をいかに縮小し、富と所得の再配分政策を進めていくのか。政策を総動員しながら、経済成長は格差の縮小によって進めていくべきだ。

 若林氏 アベノミクスは3本の矢で実行され、金融緩和だけが政策の中心にあったわけではない。国内総生産(GDP)や雇用を増やし、間違いなくマクロ経済は良くなってきている。ただ中小企業や地方に届いていない。ローカル・アベノミクスによって新しいステージに入る。アベノミクスは道半ばであり、引き続き政策を進めて結果を出していくことが大切だ。

 ◆TPP

 杉尾氏 絶対反対という立場ではない。問題は交渉の中身と結果、合意の内容だ。5項目が死守されていない。もともとの発言との整合性がとれていない。安倍首相は不誠実な態度だ。長野は農業県。大規模農業化が難しくて競争原理が働かない中、一人一人の農業者を今の合意内容で守っていけるのか、はっきりしてほしい。

 若林氏 ぎりぎりの交渉を続けるなかで大筋合意した。交渉ごとだから100%通っているということはない。重要5品目の一部には妥協しなければならない部分もあった。品目ごとにしっかり精査することで国内産業への影響を最小限にすることができる。米大統領選の行方を見ながらみんなの合意のうえで慎重に進めていく必要はある。

 ◆安保法制

 杉尾氏 何のために集団的自衛権の行使をしなければならないのか。そもそも順番が違う。個別的自衛権でどこまで守れるのかを議論せず、一足飛びに集団的自衛権を国会で強行採決するのが許されるのか。日本は法治国家。集団的自衛権が必要なのかどうか、他国の戦争に付き合う必要があるのかどうかを更地に戻し、もう一度議論する必要がある。日本の平和国家としての根本が問われる。

 若林氏 日米同盟を本当に機能させていくために、現行憲法下で限定的に集団的自衛権を認めざるをえない。米軍の将校と議論するなかで、一緒にこの国を守るためには、これを解決しなければ自衛隊も機能しないのではないかという声を聞いた。(安保法制が)オバマ大統領の広島訪問にもつながった。

 ◆憲法改正

 杉尾氏 憲法改正はイエスかノーかの二者択一では語れない。指一本たりとも触れてはいけないとは考えていないが、9条の改正はノーだ。平和主義、基本的人権、国民主権の3原則は変えるべきではない。3原則は戦後71年続けてきた日本の平和国家としての歩み。日本が国際社会で世界から尊敬される存在であるのは、9条を含めた3大原則を守ってきたからだ。膨大な犠牲を払った教訓、第二次世界大戦があったから9条があることを忘れるべきではない。

 若林氏 法律はその時代ごとの共通の認識を条項化したもの。その最高法規である憲法もその枠組の中にある。時代が変われば共通認識、常識も変わっていく。憲法を一言一句変えないというのはおかしい。憲法を制定したときには想定しなかったことが起きている。時代とともに変えていく必要がある。3原則は尊いものであり、維持していかなければならない。日本が世界から評価されるのは、70年間平和国家としての歩みを進めてきたことからだ。憲法9条があるからではなく、さまざまな先輩の外交努力によって築き上げてきたものだ。

 杉尾氏 憲法には緊急事態条項を入れるべき。他国の憲法にもある。統治機構の改革も含めて道州制の導入の議論は必要だ。しかし、これを憲法9条改正の呼び水にするような「お試し改憲」は認められない。

 若林氏 国家の根幹にかかわる憲法改正には国会はもちろん、多くの人が議論に参加するべき。すべての条文に手をつけてポンと改正するわけにはいかない。環境や私学助成など多くの人が合意できるような内容から手をつける必要がある。

 ◆参院選への決意

 杉尾 今の日本の政治のままで本当に良いのだろうか。これは安保法制だけではなく、憲法改正、アベノミクスも含めていろいろな議論がある。私が考えている政治は、「お任せ型」から「参加型」の民主主義に変えたいということ。平成21年に民主党政権が誕生したときには、うまくはいかなかったが、われわれはあきらめてはいけない。市民、県民の一人一人が参加できる政治を目指さなければならない。

 弱肉強食的な考え方はしない。今の安倍政治とアベノミクスは強者のための政治だ。強いものをより強くする、富めるものをより豊かにする。社会の底辺にいても必死に生活しているそういう人、弱い立場の人を支えてこそ政治だ。強者の政治から弱者の政治への転換点にしたい。

 これから高齢者はどんどん増え、2060年には2人に1人が高齢者になる。誰一人として置き去りにさせない社会を超高齢化社会の中でどうやって築いていくのか。先進国の中で日本はモデルにならないといけない。世界最先端の成熟国家を目指すべきだ。そのためにあらゆる政策を総動員したい。それも国政に出なければ達成できない。

 若林氏 地方の現状は大変厳しい。現実には産業の空洞化は進み、子供が就職する場所がない。成人しても地元に帰ってこない。就職の場もなく、少子高齢化が進む。子供の6割が県外に出て行く。私はこれを逆転させ、7割ぐらいの子供が生まれ育った地域で夢をかなえる場所がある地域づくりをしていきたい。

 首都圏や大企業が社会、経済を引っ張っていく時代は終わった。それぞれの地域がそれぞれ持っている豊かさ、文化、伝統に焦点を置きながら、多様性のある国家を作っていく。地域が元気になってこそ、日本が元気になる。そういう国づくりをしていきたい。

 地方創生はこの4月から実行段階に入った。全国の都道府県や市町村が競いながら地方創生を行う政策をしっかり進める。長野県内の市町村には宝がたくさんあり、それを磨き上げて波に乗せていく手伝いをしていきたい。社会保障改革にも取り組みながら、貧富や格差の是正など弱い人の立場に立った政策もやっていかなければならない。