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富士山保全状況報告書 山麓の巡礼路、特定求める イコモス大筋評価も新たな課題 静岡

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富士山保全状況報告書 山麓の巡礼路、特定求める イコモス大筋評価も新たな課題 静岡

 静岡、山梨両県がまとめた世界文化遺産「富士山」の保全状況報告書について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は「模範的な管理計画」と高い評価を与えた。ただ、先月27日に公表された意見書には世界遺産の構成資産に含まれていない「山麓の巡礼路」について特定するよう求める記述もあり、新たな課題も浮上している。

 意見書はイコモスと世界遺産センターがユネスコ世界遺産委員会に報告した。開発圧力が強いため、山麓にあった昔の巡礼路をできるだけ早く特定し保全する必要があるとして、当時の巡礼路の地図を作製することなどを求めている。

 富士山の構成資産に現在登録されているのは、富士宮口では6合目より上の巡礼路。6合目より下の巡礼路としては、平安時代に修験者たちが通ったとされる「村山古道」(富士、富士宮両市)があるが、「最古の巡礼路」といわれているだけあって経路の特定が難しく、正確なルートは分かっていない。村山古道では現在、地元有志らがルートの解明を進めており、15日には約4時間半かけて村山古道の標高1660~2500メートルの区間を登山する「村山古道ウオーキング」も開催された。

 修験者が笹で身の汚れを清めた「笹垢離場跡」には、明治時代の廃仏毀釈運動で首を割られた石仏の姿も。先導した登山家の畠堀操八さん(73)は「標高1千メートル以下の山麓では植林が進み、ルートの特定が難しい。発掘調査をしなければ、正確なルートは分からない」と解説する。

 村山浅間神社責任総代の山本哲さん(69)によると、村山古道の特定は地区の修験者が途絶えた昭和37年ごろに開始。しかし、平成8年の台風17号で、富士山南側斜面に約1千ヘクタールにわたる倒木被害が発生すると、村山古道の一部も倒木で埋まった。山本さんは「村山の道は登山道ではなく“登拝道”。日本最古の歴史ある道を復活させたい」と話すが、特定作業は難航している。

 世界遺産センターとイコモスからの意見を踏まえ、ユネスコ世界遺産委員会が先月27日に公表した決議案は、静岡、山梨両県に保全状況など最新の動向を示した報告書を平成30年12月までに再提出することを求めており、「山麓の巡礼路」の特定も大きな課題の一つとなる。