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児童養護施設退所者がスピーチ「僕の夢を応援してください」 18日、横浜でコンテスト

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児童養護施設退所者がスピーチ「僕の夢を応援してください」 18日、横浜でコンテスト

 「どうか僕の夢を応援してください」-。児童養護施設などを退所した若者たちが夢を語る「カナエール2016 夢スピーチコンテスト横浜」が18日、横浜市神奈川区の神奈川公会堂で開かれる。施設退所者の大学や専門学校への進学を応援する奨学金プログラムの一貫。両親を亡くすなどさまざまな事情を抱えた8人が、夢実現に向けた思いをアピールする。(岩崎雅子)

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 「僕は全然駄目なんです。話すのも苦手。だから『ここまでやった』と自分に言えるスピーチにしたい」

 こう話すのは、「のこっち」とニックネームで呼ばれる高校3年の男性(18)。本番に向けて都内で行われた練習会で、フジテレビのアナウンサーらからスピーチの指導を受けていた。

 中学1年の時に激しいいじめに遭い、不登校になった。転校したが再び学校に通えなくなり、何度も死ぬことを考えたという。母親が入院するなどしたため、里親が行き場のない子供たちを預かる「ファミリーホーム」に入った。

 「そんな僕を支えてくれたのはゲームでした。好きなゲームは『モンスターハンター』。モンスターを切り倒す、あの爽快感!」

 練習では、はつらつとした声を響かせた。アルバイトを2つこなしつつ、高校の成績は全て5をキープする“頑張り屋”。それでも脳裏には「中学の頃の自分」がちらつく。

 母親がコンテスト当日、会場に来てくれるかどうかは分からないが、「あの頃とは違う今の自分を伝えたい」と願っている。

 「のこっち」は何度も原稿に手を加えながら、「同じ境遇にいる人を救えるゲームを作りたい」と語り、「だからこそ退所後も学校に通いたい」と、かみしめるように言葉を紡いだ。

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 コンテストを主催するNPO法人ブリッジフォースマイルによると、児童養護施設などに入所する子供たちの高校卒業後の進学率は約20%と低い。生活費や学費を稼ぐために長時間のアルバイトを余儀なくされ、中退率は約3割という。

 コンテストの実行委員長を務める植村百合香さん(32)は「施設職員は『少しでも安定した将来を』と就職を勧めざるをえない。『無責任に夢を見せられない』と考えている」と苦しい状況を話す。

 そうした中で、同法人は「全ての子供に夢を見る権利はあると伝えたい」と、平成23年にコンテストを開始した。事前選考を経て選ばれた出場者は、入学一時金30万円と卒業までの生活費(月3万円)を奨学金として受けられる。

 横浜市は26年度から同コンテストを全国の自治体で初めて支援。市社会福祉基金が奨学金を負担し、同年から横浜でもコンテストが開かれるようになった。植村さんは「昨年のスピーチを聞いて今年出場を決めた子供もいる。彼らの夢を応援する環境があることを伝えていきたい」と話している。

 18日午後1~4時半。入場料は5千円。問い合わせはコンテスト事務局(電)03・6842・6766。