産経ニュース

新潟水俣病行政訴訟 「もっと踏み込んだ判断を」 原告弁護団長「不当線引き」不満隠さず

地方 地方

記事詳細

更新


新潟水俣病行政訴訟 「もっと踏み込んだ判断を」 原告弁護団長「不当線引き」不満隠さず

 公害健康被害補償法(公健法)に基づく認定申請を新潟市に退けられた同市内の未認定患者ら9人が、棄却の取り消しと患者認定を求めた行政訴訟の判決で、新潟地裁(西森政一裁判長)は30日、7人を水俣病と認定し、残る2人は認めないとする判断を下した。原告側は、7人の認定を評価する一方、同居していた家族に認定患者がいたかどうかが判断の分かれ目になったとして「不当な線引きだ」「非科学的な判断」と複雑な表情を浮かべ、不満を隠さなかった。

 認定された原告7人は50~60代の男女。敗訴となった2人のうち1人は、市への認定申請後の平成18年に75歳で亡くなり、生きていれば80代の男性が対象で、妻が提訴した。もう1人はこの男性の娘だ。この2人の感覚障害について判決は、他の原因による可能性が否定できないとした。

 判決後、新潟市中央区で開かれた記者会見で、原告弁護団長の高島章弁護士は「家族に認定患者がいるかいないかの不当な線引き。裁判所には、もう少し踏み込んだ判断をしてもらいたかった」と指摘。昭和40年から水俣病患者を診察してきた原告の主治医、斎藤恒氏(85)も「認定された患者と棄却された患者の間に医学的な違いは認められない。きちんとした調査をすべき」と憤った。

 新潟水俣病の公式確認から半世紀を経て認定をめぐる問題が解決しないのは、国が昭和52年に定めた認定基準の厳格さが一因とされる。高島氏は「それ以前は感覚障害のみで認められた。ときどきの政策に左右され、水俣病の(患者の間で認定をめぐる)分断が続いている」と指摘。原告を代表して会見に臨んだ50代の男性も「原告全員が認められなかったことが非常に残念だ」と述べ、国の認定基準の見直しを求めた。

 最高裁は平成25年4月、感覚障害の症状だけの診断結果だった熊本県水俣市の溝口チエさん(昭和52年に77歳で死亡)について、水俣病と認める判決を下した。「『溝口判決』は家族に認定患者がいなかった点を考えると、今回は後退した」と高島氏は批判した。

 環境省は平成26年3月に「症状が1つでも認定できる」との新通知を出した。ただ、症状との因果関係を裏付ける客観的資料や家族に認定患者がいるかどうかも重要視するなど認定のハードルは高く、今回の司法判断でも家族に関する考え方が覆ることはなかった。