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「シャトーカミヤ旧醸造場」復旧工事完了 震災5年「感無量の思い」 茨城

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「シャトーカミヤ旧醸造場」復旧工事完了 震災5年「感無量の思い」 茨城

 東日本大震災で被災した国指定重要文化財「シャトーカミヤ旧醸造場施設」(牛久市中央)の復旧工事が今年3月に完了し、所有者らが27日、記者会見を開いた。半壊状態の建物を復旧、そして補強する作業は想像以上に骨が折れるものだった。被災から5年。年間約40万人が訪れる同市のランドマークとして、シャトーカミヤは新たなスタートを切る。(上村茉由)

 「100年以上の月日を経て、シャトーカミヤは次のステージに立つ。これからも地域とともに発展していきたい」

 記者会見で、同施設を所有する酒類大手のオエノンホールディングス(本社・東京都中央区)の西永裕司社長はそう思いを語った。

 シャトーカミヤは明治36年に開設した日本初の本格的なワイン醸造場。明治中期のれんが造り建築としての歴史的な価値の高さと、当時の醸造方法を知る上での産業技術史上の価値の高さから、平成20年6月に国の重要文化財に指定された。指定されているのは旧事務室(現本館)、旧醗酵室(現神谷傳兵衛記念館)、旧貯蔵庫(現レストラン)の3棟。

 平成23年の震災で3棟のれんがやしっくいの内外壁には至る所に亀裂が入り、れんがが脱落するなどの被害を受けた。特に旧事務室は半壊状態だったという。

 3棟に使用されているれんがは計約115万個。そのうち約1万5千個が割れたり崩れたりして、取り換える必要があった。

 しかし「昔のれんがは今のより少し小さい。形だけでなく、質も同じに作ってもらわなければならないが、国内で特注でれんがを作ってくれる業者は少ない」と、復旧工事を指揮した同施設設計監理事務所の高橋好夫所長。わざわざ愛知県の窯元に注文したという。

 旧醗酵室は、湿度や温度がワインの熟成に最適になるように計算されて作られている。「その環境が変わってしまっては、文化財的価値が失われてしまう」(高橋所長)と、建物の外から補強する工法を取った。

 26年3月に旧醗酵室と旧貯蔵庫の復旧工事は終了し、旧貯蔵庫はレストランとして営業を再開している。そして震災発生から5年を経た今年3月30日、ようやく旧事務室の工事が完了した。復旧工事費は総額約15億円という。高橋所長は長い闘いを振り返ってこう語った。

 「なんとかうまく修復できて、またみなさんに安全に見学してもらえる。感無量の思いです」