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東電の新潟CMめぐる対立平行線 県民との対話に求められる努力

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東電の新潟CMめぐる対立平行線 県民との対話に求められる努力

 東京電力ホールディングス(HD)新潟本社(新潟市中央区)が県内限定で昨年6月から展開しているCMをめぐり、放送中止を求める福島県からの避難者や市民団体と東電側の主張は平行線をたどり、対立解消の糸口が見えない状況が続いている。東電は継続する考えを譲らず、5月から新たな内容のCMも始めた。ただ、CMは経営再建に欠かせない柏崎刈羽原発(刈羽村、柏崎市)の再稼働に向けた地ならしと受け止める向きもあり、CM以外で県民との対話を深化させる一層の努力が東電に求められそうだ。

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 CMは、福島第1原発事故を教訓に強化した柏崎刈羽原発の安全対策や防災訓練をテーマにした内容。現在、テレビでは計6パターンを民放4局でそれぞれ1カ月に約80本放送している。国際原子力機関(IAEA)が安全確保のために求める「深層防護」のソフト面を磨く姿勢をアピールしようと、地元出身の職員が登場する「一人ひとりの決意編」も用意した。

 東電新潟本社の木村公一代表は10日の記者会見で、昨年4月に設立した同本社の1年間の活動を振り返り「厳しい意見もあるが徐々に手応えを感じている」と説明。県民との対話を重視して信頼回復に努める考えを強調した。CMもその一環として位置づけている。

 会見で木村代表は「新潟でも東電の電気を買ってほしいという気持ちが強くある」と、柏崎刈羽原発で発電した電気の県内向け販売に意欲をみせた。エネルギーの安定供給を担う「地元の電源」としての存在意義を明確にして、県民とのつながりを強めたいとの思惑がうかがえる。

 県内での電力販売は、4月に始まった電力小売りの全面自由化を踏まえ、検討を始めた。信濃川電力所の水力発電の電気を県内で販売する方策も探る構えだ。

 一方、福島県からの避難者や原発に反対する市民団体などはCMの中止を強く求めている。3月に渡した抗議文に対し、東電新潟本社が安全対策は意見を広く聞くことに加え「広報が責務」と回答したことに反発し、東電HD本社にも4月中旬に抗議文を提出。反対の声を高めるため全国から1900人を超える署名も集めた。

 反対運動の呼びかけ人の一人で新潟市議の中山均氏は「汚染水やメルトダウン(炉心溶融)の公表などをめぐる都合の悪い問題を取り上げず、実態とかけ離れたCMや広告に多額の費用をかけている」とした上で「福島原発事故の被災者や福島からの避難者の生活支援などに誠実に向き合うべきだ」と指摘する。今後、県内の自治体の首長を対象に東電への見解を問うアンケートも検討するという。

 CMについて、泉田裕彦知事は11日の記者会見で「むしろ(県民に)アレルギー反応が出ていて、本当に東電にとってのプラスなのか疑問だ」と述べ、懐疑的な考えを示している。(臼井慎太郎)