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桶川飛行学校に物販計画? 5月9日から解体調査

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桶川飛行学校に物販計画? 5月9日から解体調査

 昨年12月に閉鎖された旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場(桶川飛行学校)=桶川市川田谷=の解体調査工事が、連休明けの来月9日から始まる。市は解体、復元した施設を戦後75年の平成32年にオープンする方針。調査を委託された「ものつくり大学」(行田市)は、将来的には戦後焼失した建物を新築し、物産販売を行うイメージを示しており、保存に尽力してきた団体からは賛否両論も出ている。(川峯千尋)

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 同校は昭和12年に開校し、特攻隊員12人を含む延べ1500人余りの航空兵を養成した。兵舎と車庫、便所と守衛所の4棟が戦時中の姿のまま残っている。

 市は昨年3月、ものつくり大学と保全整備に向けた協定を締結。市が平成26年に策定した同校跡地整備基本計画書案に基づき、同大の文化財建造物修復学研究室が学術調査などを経て今年3月、事業基本設計図書を作製した。

 研究室の横山晋一准教授によると、飛行学校の校舎は旧陸軍の仕様書に倣って建築されており、「軍の仕様書を基に建築された木造の建物は全国的にほぼ残っていない。建造物としても重要」。しかし、腐食や破損がひどく耐震性に問題があるため、一旦解体して修理することが必要という。

 設計では「風化していく戦争の記憶を学ぶ」「平和を未来へ語り継ぐ」をコンセプトに、現存する4棟を解体後に復元。中央の庭は芝生とブロックを敷き詰めた広場にする。調査解体では、20万~30万に及ぶ全パーツを一つ一つ取り外しながら素材や構法を確認。腐った部分を取り除くなどして、創建時の材料を6割以上活用するのが目標だ。

 さらに、研究室からの将来的な提案として、戦後焼失した食堂棟や解体された教室棟を新築し、物産販売を行うイメージ画像などが示された。横山准教授は「文化遺産の保存が大前提だが、次の世代に恒久平和を伝えるのが本来の目的。人が集まる仕組みを作り、市民のために積極活用するべきだ」と訴える。

 これに対し、NPO法人「旧陸軍桶川飛行学校を語り継ぐ会」の会員らは複雑な心境をのぞかせる。元通信兵の瀬戸山定さん(90)は「観光地化したいという思いが強く、英霊への慰霊の思いが全くない」と批判する。一方、石田行雄さん(86)は「このままでは人も来ない。復元された兵舎を主体にしながらも、客寄せは必要ではないか」と理解を示す。

 飛行学校は2月、市指定の有形文化財になった。市は今年度中に検討委員会を開いた上で、文化財としての活用方針を決定、30年度の着工を目指す。市の担当者は「人が集まる施設にしたいという思いもあるが、物販はあくまで提案の一つ。今回の計画を基にしながらも、予算や市民の意見との兼ね合いもみて、実施計画を策定したい」としている。