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長野7市町村申請、「木曽路~」日本遺産認定 地域活性へ希望の光

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長野7市町村申請、「木曽路~」日本遺産認定 地域活性へ希望の光

 文化庁が25日認定した日本遺産に、木曽郡6町村と塩尻市が申請した「木曽路はすべて山の中~山を守り 山に生きる~」が入った。同遺産は日本が世界に誇る貴重な文化財群にお墨付きを与える制度として昨年度創設され、県内から初の認定となった。死者・行方不明者が63人に上る戦後最悪の火山災害となった御嶽山噴火(平成26年9月)から1年7カ月。なおも傷が癒えぬ木曽地域の自治体、住民に大きな希望の光となり、観光・産業振興に弾みがつきそうだ。

 認定を受けて阿部守一知事は「木曽地域の山と森に育まれた伝統文化は、県内の誇るべき文化遺産群の一つ。木曽地域は御嶽山噴火からの復興途上にあり、さらに地域の活性化につながるよう引き続き支援する」と喜びのコメントを発表した。

 御嶽山の麓に位置する木曽町教育委員会の中谷和博文化芸術係長は「木曽は歴史的に大きな絆で結ばれてきた地域。観光面では御嶽山噴火災害や南木曽町の土石流災害の打撃が残り、この認定を励みに国内外に木曽のすばらしさを発信したい」と期待を示した。

 日本遺産は、歴史的建造物や伝統芸能などの文化財を、テーマや地域ごとに一つのストーリーとして認定する仕組み。木曽路は、戦国の世が終わって人々が平穏な暮らしを取り戻した頃から現代に至るまでの木曽谷全体を貫く歴史や文化、産業がストーリーをなす。

 そこでは、戦乱が幕を閉じて城郭や社寺建築などの木材需要が森林資源を枯渇させるなか、尾張藩による森林保護政策から生まれた木曽漆器などの地場産業をまず挙げる。こうした産業が地域を支え、街道整備に伴って御嶽山信仰といった地域特有の文化も全国に広がったからだ。

 ストーリーを構成する文化財には、妻籠宿(つまごじゅく)(南木曽町)や奈良井宿(塩尻市)など中山道の宿場町のほか、木曽ヒノキを生んだ水木沢天然林(木祖村)と赤沢自然休養林(上松町)、在来馬種の木曽馬、御嶽山信仰にまつわる史跡や、国指定名勝の寝覚(ねざめ)の床(上松町)などが登場し、豊かな地域資源をアピールする。

 さらに、ろくろ工芸やお六櫛(ろくぐし)などの伝統工芸品、すんき漬けや手打ちそばなどの食文化、全国的に知られる木曽踊り・木曽節といった木曽の歴史文化や人々の暮らし全体を挙げているのも特徴だ。

 南木曽町は昨年、「妻籠宿と中山道」を日本遺産に申請したが、認定は見送られた。再挑戦は、同町の主導により木曽郡6町村と塩尻市の共同申請とした。県木曽地方事務所や県教委などの支援を仰ぎつつ「オール木曽」の態勢で臨んだ。

 南木曽町教委の鈴木義幸文化財町並係長は「江戸時代の風情を残す宿場町だけでなく、森林資源や自然、地域を支えた産業、食文化など木曽を一つのストーリーとしたことが評価されたと思う」と話している。

 御嶽神社里宮や王滝森林鉄道などの文化財を抱える王滝村は「御嶽山噴火で停滞気味だった村が活気づく大きな起爆剤になる」(村おこし課)と、差し込んだ光明に「次」を見据える。