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佐渡で純野生トキ2世 長い道のり…喜びに沸く

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佐渡で純野生トキ2世 長い道のり…喜びに沸く

 ともに野生下で生まれた国の天然記念物トキのペアによるひな誕生が発表された22日、地元の佐渡市は40年ぶりとなる「純野生」の2世誕生に沸いた。平成20年に初めてトキが放鳥されてからも長い道のりだっただけに、関係者は喜ぶとともに安堵(あんど)の表情を見せた。泉田裕彦知事は「野生復帰に向けた取り組みは多くの佐渡市民の努力と協力に支えられており、深く感謝する」とのコメントを発表し、地元や保護関係者の貢献をたたえた。

 同日午後、環境省の広野行男首席自然保護官(43)は同市の佐渡自然保護官事務所で、ひな誕生を確認した21日の状況を報道陣に語った。

 トキは周囲の環境に過敏なことから、ひなは目視ではなく、アカマツの高さ約10メートル付近に作られた巣の近くにビデオカメラを置き、映像で観察を続けてきた。広野氏は「ひなの姿が見えそうで見えず、ようやくわずかな姿を確認できたときは少し(気持ちが)沸き上がった」という。実際に孵化(ふか)した日は「20日以降ではないか」とみている。

 17日にも見込まれていた孵化が遅れた要因について、広野氏は「最初の卵ではなく、複数産卵された第2卵、3卵からひなが生まれた可能性が考えられる」と推測した。順調にいけば巣立ちは5月下旬ごろとみており「厳しい環境下で孵化に至ったので、巣立ちも野生生まれの実力を見せてほしい」と語った。

 このほかにも現在、野生下で生まれたトキ同士の抱卵が4組あり、2世誕生ラッシュへの期待も高まる。ただ、広野氏は「繁殖期を初めて迎える若い個体のため、しっかり見守っていきたい」と慎重に答えた。

 一方で「やったというより、やっとか」と正直に打ち明けたのは、佐渡トキ保護センターの金子良則獣医(58)。21日に撮影された映像を22日に確認し「くちばしをまっすぐ上にあげて力強い」とひなの状況を説明した。「放鳥から8年たち、時がかかったなというのが実感。トキだけに」とちゃめっ気を見せつつ、「これが本当の意味の野生復帰だ」と強調した。

 午後3時ごろ、市役所の玄関前には「祝トキ野生下二世ひな誕生」の文字が躍る垂れ幕が掲げられ、三浦基裕市長と職員約80人が一緒に喜んだ。三浦市長は「無事に生まれてくれることだけを考えていた。自然の中でたわむれるトキの姿を見に来てくれる人が一人でも増えてほしい」と報道陣に述べ、佐渡の活性化につながる効果を見据えた。

 初放鳥からトキの野生復帰事業に携わってきた市農林水産課トキ政策係の村岡直(ただし)係長(49)は「感慨深い。トキの野生復帰がさらに前進した。市民や(佐渡とき保護会の顧問だった)佐藤春雄先生が命を削って保護活動をしてきた努力が実った」と喜んだ。