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300年の歴史 群馬・南牧村「御柱祭」 高齢化…存続危機乗り越え17日開催

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300年の歴史 群馬・南牧村「御柱祭」 高齢化…存続危機乗り越え17日開催

 南牧村の星尾諏訪神社で17日、境内にある御柱(おんばしら)を立て替える「御柱祭」が開催される。長野県の諏訪大社同様、6年おきの「寅」と「申」の年に開催され、300年を超える歴史を持つ。巨木に人がまたがり、急斜面を下る本家のような派手さはないが、地元の人が長く支えてきた。一時は存続の危機にさらされたが、今回で51回目を迎える。祭の実行委員長で同村星尾地区の農業、掛川宏一郎さん(79)を訪ねた。

 高崎から車を走らせ1時間半。村に入り、南牧川沿いを西に向かうと、道幅が急に狭くなり、急峻(きゅうしゅん)な斜面に建つ民家が目に入った。その西端が星尾の集落だ。

 「先祖が継承してきた300年もの歴史がある祭を絶やすわけにはいかないんですよ」と掛川さんは切り出した。

 村の人口は2100人ほど。65歳以上の高齢化率は日本一だ。星尾には昭和28年頃に約125戸があったが、今は45戸にまで減った。人口減と高齢化で、切り出した木を運ぶ人手が不足し、前回の平成22年は、50回記念として何とか祭を開催できたが、その後存続が危ぶまれた。

 幼いころから祭の中で育ってきた掛川さんは、何とかこの歴史を残そうと、県と村に掛け合い、ポスター50枚を作成。村内各地や近隣の町などに張り出し、地区外から参加者集めに奔走した。

 南牧村は、イタリアの東アルプス山脈にある地域になぞらえた「西上州のドロミテ」とも言われる立岩や鹿岳など独特の形状をした山があり、多くの登山者を引きつける。山の愛好者やネットで、祭の窮状を知った人たちが県内外から参加を希望し、今回の開催にこぎつけた。

 近くから意外な助っ人も現われた。「下仁田建築業組合」が木遣(きやり)で参加することになったのだ。組合員の大工、市川富夫さん(62)は「祭を祝い、参加者の気持ちを鼓舞し、木遣で盛り上げたい」と話す。

 祭の当日朝は、昨年11月に伐採した樹齢200年、長さ約13メートル、直径約60センチの杉の巨木をロープを使って山の斜面から道路に降ろす。住民総出で木につなげたロープを引き、神社までの山道を約2キロ運ぶ。境内で杉の皮をはぎ、6年前に立てた御柱を切り倒し、新しい御柱と立て替える。狭い場所での穴堀りなど、多くの人手が必要だ。今の村に人手が足りないのは無理もない。

 掛川さんの案内で神社を訪ねると、境内の片隅に6年前の御柱が静かに立っていた。満開のサクラを眺め、掛川さんは「一人でも多く祭に参加してもらい、にぎやかにしたいね」とつぶやいた。

 参加申し込みや問い合わせは(電)0274・87・2205の掛川さんへ。