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野生下トキのペア、ひな誕生か 40年ぶりの実現に期待高まる 新潟

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野生下トキのペア、ひな誕生か 40年ぶりの実現に期待高まる 新潟

 雄と雌がともに佐渡市の野生の下で生まれた国の天然記念物トキのペアからとしては昭和51年以来、40年ぶりとなる2世誕生の実現に地元や関係者の期待が高まっている。該当する5組のトキで卵を温める抱卵が確認されており、17日から順次孵化(ふか)する可能性がある。誕生すれば野生復帰に向けて平成20年に放鳥が始まってからは初めてとなる。14日には同市の野生下で生息するトキのペア1組から、今季最初のひな2羽の誕生も確認された。

 いずれも野生下で生まれたペアの今季初となる抱卵は、3歳の雄と雌で3月20日に確認された。環境省によると、20日を起点にすると4月17日が孵化予定日の29日目に当たる。このペアは昨季も抱卵したが途中でやめ、ひな誕生はお預けとなっていた。

 今季について、同省佐渡自然保護官事務所の広野行男首席自然保護官(43)は「期待を持って見守っている」と話す。

 トキの野生復帰に向け、同省は20年9月からこれまで、13回にわたり計215羽を放鳥した。広野氏によると「仮に放鳥をストップしてもトキが自然状態で生存し、繁殖する状態を目指している」という。人間がコントロールするのではなく、トキが自立して群れを維持するのが理想で、広野氏は「野生同士のペアでの孵化が実現すれば、目指す状況に一歩近づく」と、野生下のペアによる2世誕生の意義を強調する。

 14日に誕生が確認されたひなの親は野生の下で生まれた雄と放鳥の雌。初放鳥以来、26年は最多となる31羽のひなが巣立ち、昨年は16羽だった。ひなが誕生したペアを含め、今季は全部で29組の抱卵が確認されており、同省は40羽の巣立ちを見込んでいる。

 佐渡島には14日現在、野生下で148羽が生息し、うち約100羽が定着(1年以上の生息)している。同省は3月下旬、32年頃に220羽の定着を目指すロードマップを策定した。広野氏は「1年だけの結果で左右されるわけではないが、今年は5年後の目標に向かう初年度」として、40年ぶりの朗報を心待ちにしている。