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徳之島のクロウサギ守れ 猫3千匹全て不妊去勢へ 鹿児島

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徳之島のクロウサギ守れ 猫3千匹全て不妊去勢へ 鹿児島

国の特別天然記念物アマミノクロウサギ(環境省徳之島自然保護官事務所提供) 国の特別天然記念物アマミノクロウサギ(環境省徳之島自然保護官事務所提供)

 鹿児島県・徳之島に生息する国の特別天然記念物アマミノクロウサギを野良猫から守るため、島内の猫3千匹全てを不妊去勢するプロジェクトが進む。ただ、人間の身勝手な猫の飼い方にも責任の一端があり、意識改革を訴える声も上がる。

 徳之島は人口約2万3千人。山に入り込んだ野良猫が、推定200匹生息しているクロウサギを食べる被害が目立つようになった。

 環境省徳之島自然保護官事務所の渡辺春隆氏(30)は「飼い猫も狩猟本能があり、野生化すれば狩りをする。島には肉食性の哺乳類が生息せず、クロウサギは警戒心が薄い」と説明した。

 徳之島は世界自然遺産を目指す「奄美・琉球」の一部。伊仙町の美延治郷さん(60)は「何千匹も殺処分すれば、世界遺産の価値もなくなる」と述べた。伊仙町を含む島の3町は平成26年11月、公益財団法人「どうぶつ基金」(兵庫県)と共同でプロジェクトを始めた。島一体で徹底的に実施するのは世界初という。

 町職員らが屋外にわなを仕掛けて野良猫を捕獲し、基金が派遣する獣医師が施術。済めば、目印として耳の先端を切って放す。飼い猫も無料で手術する。

 環境省は、クロウサギを食べる山の「ノネコ」を捕まえて去勢する事業を始めた。山に戻さず、3町が運営するシェルターで一時飼育し、飼い主を探す。引き取りは、室内飼育が条件だという。

 これまで去勢されたのは計約2200匹。クロウサギの目撃場所は増えてきた。ただ、基金の担当者は「ここでやめると5年で元に戻る。根気強く続けることが大切」と強調する。28年度は、3町独自で国の交付金を使って続ける。

 野良猫が増えたのは人間のせいでもある。美延さんによると、島は温暖な気候のため家が開け放たれ、猫は自由に出入りする。有料だと不妊手術を受けない飼い主も多い。シェルターを管理する天城町の秋山光さん(29)は「住民の意識を変え、室内飼いを徹底させたい」と語った。