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戦闘機返還が結ぶ奇縁 米から大分へ日本兵出征旗

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戦闘機返還が結ぶ奇縁 米から大分へ日本兵出征旗

 さきの大戦中、大分県で旧日本軍が撃墜した米戦闘機の機体返還をきっかけに、今度は米国で見つかった日本兵の出征旗とみられる日の丸が、日本側に返還された。旗には偶然にも、大分ゆかりの学校名が書かれていた。機体を保管し、米国に返還した大分県佐伯市の関係者は、この奇縁に驚き、持ち主や親族探しを始めた。 (村上智博)

 ことの発端は、佐伯市の戦争遺構研究グループ「歴進会」のメンバー、河野豊氏(65)らが平成7年、米艦上戦闘機「F4U-1コルセア」のエンジンなどを佐伯湾から引き揚げたことだった。

 機体の一部は「佐伯市平和祈年館やわらぎ」で保管してきたが、米国への返還機運が高まった。寄贈先は米ニューヨークの「イントレピッド海上航空宇宙博物館」と決まった。

 今年3月6日、米海軍関係者らも出席し、佐伯市内で、返還式典が開かれ、関係者は同25日、渡米した。

 この話を一部の米メディアが大々的に報じた。米シカゴの自営業、ドミニック・カイロさん(26)もニュースを見た一人だった。

 カイロさんの父親は、骨董(こっとう)品など歴史を感じさせる物の収集家で、数年前、骨董市で日の丸を入手した。旗は縦65センチ、横70センチで、出征兵士を激励するような日本語の寄せ書きがあった。

 カイロさんらは「この旗を持っていた兵士の気持ちを考えると、すぐにでも日本に返さなければいけない」と考えたが、持ち主も特定できず、宙に浮いた状態だった。

 佐伯市の関係者らが戦闘機返還でニューヨークを訪れることを知ったカイロさんは、佐伯市側と連絡を取り、引き渡しの式典会場に日の丸を持ってきた。

 旗を見た河野氏らは驚いた。

 そこには、「必勝祈願」などの言葉とともに、「大分県立三重高等女学校」や「大野拓殖農林学校」の名があった。三重も大野も、佐伯市の隣にある大分県豊後大野市の地名だった。村長として、「衛藤」と大分県に多い姓もあった。

 河野氏らは3月末、旗を持って帰国し、佐伯市の西嶋泰義市長に報告した。

 市教育委員会は、持ち主の手がかりを得ようと、「市平和祈年館やわらぎ」での旗の展示を決めた。

 西嶋氏は7日、市役所で記者会見を開き「行政ルートでも豊後大野市に照会するなどし、持ち主や家族に届くように尽力したい」と語った。