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京葉線とりんかい線の直通運転、混雑緩和効果大も採算性課題 千葉県調査

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京葉線とりんかい線の直通運転、混雑緩和効果大も採算性課題 千葉県調査

 ■複々線化が前提 事業費1100億円回収厳しく

 平成14年の東京臨海高速鉄道りんかい線(新木場-大崎)の全線開通以降、同じく新木場駅を発着するJR京葉線との相互直通運転を県は要望してきた。「両線がつながれば、激しい混雑の緩和や、沿線一帯の発展につながる」(県交通計画課)と期待は大きいが、実現のため必要となる京葉線の一部を複々線(上下線各2本)とする工事の事業費を県が試算したところ1100億円にも上り、採算性などの課題が浮き彫りとなった。

 京葉線は蘇我駅(千葉市中央区)と東京駅をつなぎ、今後の発展が見込まれる京葉地域を縦断している。JR武蔵野線とは直通運転もあるが、途中の新木場駅では、りんかい線との直通運転はなく、改札を出る必要がある乗り換えに「平均で8分半から10分半程度かかる」(同課)。さらに、京葉線は朝のラッシュ時の混雑がひどく、混雑率は172%(平成26年度、新木場-葛西臨海公園)にもなり、国の目標値である150%を大きく超えている。

 こうした課題を克服しようと、県は両線の直通運転を鉄道事業者などに要望してきた。

 両線は新木場駅付近で線路が接続し、技術的にはすぐにでも直通運転が可能だが、「東京駅行きの便数を減らすことは利便性低下につながる。とはいえ現状の過密ダイヤのままでは、直通便の運行は難しい」(同課)ため、直通運転は複々線化を済ませて電車を増発して行うことを前提に考えられている。

 直通運転実現に向けた事業費に関する県の調査は、外部業者に委託して実施。先月末に結果が公表された。

 結果では、期待される効果として、(1)京葉線がりんかい線を経由して大崎駅まで乗り換えなしに到着するため、東京駅行きの混雑が緩和される(2)りんかい線が大崎駅で直通運転を実施しているJR埼京線ともつながるため、京葉線沿線から新宿、渋谷両駅などに乗り換えなしで行けるようになる(3)幕張新都心と東京湾岸地域の活性化にも寄与し、幕張メッセと、類似施設の東京ビッグサイト(東京都江東区)が乗り換えなく、1本の電車でつながる-ことなどを挙げた。

 課題となるのは費用面だ。複々線化の概算事業費1100億円の内訳は、用地の取得や線路の建設費など。調査では直通運転の本数別に3通りのケースを想定して採算性を計算したが、いずれも30年後の累積収支が赤字になる(事業費が回収できない)とする厳しい結果となった。

 また、直通運転が実現すると、大崎駅へは従来の東京駅から山手線に乗り換えるルートとりんかい線のルートの2つになるが、現状の運賃が異なっているという問題もある。

 森田健作知事は7日の定例記者会見で「京葉線、りんかい線の沿線には2020年東京五輪の競技会場が多数立地している。相互直通運転の実現を国や鉄道事業者に引き続き要望していきたい」と話した。