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トマト農場、事業中止も 県議会自公、補助金停止を決議 埼玉

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トマト農場、事業中止も 県議会自公、補助金停止を決議 埼玉

 県と流通大手イオングループによる久喜市での大規模トマト農場計画をめぐり、県議会自民は18日、環境農林委員会で事業費の国庫補助金9億8700万円の支出の執行停止を求める付帯決議を提案し、自民と公明の賛成多数で可決された。県内農家への影響が懸念されることが理由。付帯決議に法的拘束力はないが、平成28年度中に予算が執行されなければ事業は中止となる。(川畑仁志)

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 付帯決議は停止解除の時期を「県が責任を持って実証・普及を一元的に行う態勢が整ったと認められるまで」とした。県は工事を継続したまま態勢を整備し、6月定例会以降の同委員会に提示する。上田清司知事は同日、報道陣に「生産量は県内消費量の1%で影響は少ない。十分な説明をしたが、理解を得られず残念だ。進めてほしいという農家の声もある」と述べた。

 自民は4日の委員会で、イオン側が安価でトマトを販売した場合に県内農家のトマトが売れなくなるなどとして「県が主導権を握るべきだ」と主張。共同事業の期間を14年から5年に短縮し、その後はイオン側から施設譲渡を受けて県単独事業として県内農家の技術向上、生産力強化を図るよう要請していた。

 18日の委員会で県農林部は、国の「短縮は制度的に不可能ではないが、イオン側の同意が必要」との意見や、イオン側の「現行計画でグループの合意を取っており、(短縮は)困難」との考えを報告。自民は事業費を28年度に繰り越す27年度補正予算案に賛成した上で、付帯決議案の動議を提出した。同案では、県は生産者への影響に注意すべきとした昨年2月定例会での付帯決議に沿った対応を取ったとは言い難いとした。

 民主・無所属、県民の2会派は、執行停止による事業の遅れでイオン側から損害賠償を請求される可能性を指摘し「損害賠償は県民の税金から支払われる。民間との事業が困難になる」などと批判。自民は「訴訟される議案を継続した県の責任は重い」と反論した。共産は「特定企業への支援に当たる」として予算の繰り越し自体に反対した。

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【用語解説】大規模トマト農場計画

 農林水産省が全国10カ所で進める「次世代施設園芸導入加速化支援事業」の一つ。県農業技術研究センター久喜試験場(久喜市)にハウスを建設し、室温や二酸化炭素濃度などをコンピューターで管理し技術を実証普及する。生産見込みは年990トンで、全量をイオングループのスーパーマーケットで販売。国庫補助金のほかイオン側が約9億円を支出、県の財政負担はない。