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前橋「岩神の飛石」は浅間山由来 2.4万年前の大崩落で漂着

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前橋「岩神の飛石」は浅間山由来 2.4万年前の大崩落で漂着

 国の天然記念物に指定されている巨岩「岩神(いわがみ)の飛石(とびいし)」(前橋市昭和町)について、前橋市教委は15日、初めて行った科学的分析調査の結果、戦前から指摘されてきた「赤城山由来」ではなく、約2万4千年前の浅間山の大崩落で発生した泥流によって流されてきた「浅間山由来」だったとする調査結果を発表した。飛石は高さ約10メートル、周囲約70メートル。岩神稲荷(いなり)神社の御神体で、伝承も残る観光スポットとしても知られる。

 岩神の飛石が国の天然記念物に指定された昭和13年12月当時、赤城山にも同じような成分の石があったことなどから、「赤城山の噴火によるもの」とされていた。しかし平成20年ごろから「浅間山由来では」との指摘が出始め赤城山説と浅間山説が並ぶ状況だった。

 ただ、国指定の天然記念物のうえに御神体ということもあり、科学的分析調査は実施されてこなかった。

 市教委は文化庁の許可を得たうえで25年度から3年にわたって国の補助事業として岩石成分分析調査を実施。岩神の飛石が、浅間山由来の同様な巨岩「とうけえ石」(中之条町)や「赤岩弁天」(長野県佐久市)と成分がほぼ一致していることが判明。さらに、岩周辺のボーリング調査の結果、約2万4千年前の浅間山噴火の「前橋泥流」で運搬されたこともわかった。浅間山から現在の飛石の位置までは直線距離で約48キロある。

 市教委では紹介する際、2説を掲載していたが、今後は「浅間山由来の岩石」と明記する。国の天然記念物指定の理由はさかのぼって訂正することはなく、今回の事実を併記することになるという。保存計画を策定し、「学校での教育や観光面で、成り立ちなどを広く周知していきたい」としている。

 文化財保護課の小島純一課長は「赤城山か浅間山か曖昧だったが、はっきりできてよかった」と語った。

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 ■たたり恐れ? 調査のノミ躊躇

 岩神の飛石は岩石中の鉄分が酸化し赤みを帯びている。この赤みから、有名な伝承がある。昔、この岩を削って石材にしようとした石工がノミを打ち込んだところ、血が噴き出し石工は急死した。たたりを鎮めるため岩神稲荷神社が建立されたとされる。“調査のノミ”を入れにくかった背景の一つといえそうだ。