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新路線誘致へ注力、北九州空港あす開港10年 混雑「福岡」と棲み分けカギ

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新路線誘致へ注力、北九州空港あす開港10年 混雑「福岡」と棲み分けカギ

16日に開港10年を迎える北九州空港 16日に開港10年を迎える北九州空港

 北九州空港(北九州市小倉南区)は16日、開港から10年を迎える。地域経済浮揚への期待を受け、九州初の24時間空港として開業したが、利用した乗降客数は、当初予測の半分以下と、視界不良のフライトが続く。福岡県や市は、今月末に「混雑空港」に指定される福岡空港(福岡市博多区)との棲み分けが、北九州空港活性化のカギを握るとみて、航空路線誘致に本腰を入れる。(九州総局 奥原慎平)

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 「地方創生で(北九州市が)もっとも力点を置くのが空港の活性化だ。北部九州にとって、これほど大きな夢と可能性を持ったインフラはありません。定期便や航空貨物をしっかりと育てるという戦略にも、手応えを感じている」

 13日、北九州空港ターミナルビルで開かれた開港10周年記念式典で、北九州市の北橋健治市長はこう語った。

 北橋氏は昨年12月22日、福岡県の小川洋県知事と会談した。

 2人は1時間の話し合いをほぼ、北九州空港の活性化策に費やし、航空会社に対するトップセールスなどで合意した。

 県は来年度から3年間を北九州空港の利用促進の強化期間と位置づける。インバウンド(訪日観光)の多いアジア圏を中心に、航空会社に誘致を働きかける。

 ◆受け皿に

 北九州空港は平成18年3月16日に開港した。

 JR九州北九州本社の福岡本社への統合(13年)など、暗い話題の多かった地域の起爆剤として、期待が高まった。国土交通省は19年度の乗降客数を283万人と予測した。

 だが、リーマン・ショック(20年9月)による景気の冷え込みに加え、福岡空港への航空便集中で、北九州空港の乗降客は伸び悩んだ。27年(速報値)は131万人と予測の半分に満たない。

 北九州空港は、小倉駅からバスで33分で到着する。地方空港として決して不便ではない。だが、福岡空港はさらに便利だ。博多駅から地下鉄で5分という立地は、世界でも有数の利便性を誇る。このインパクトには勝てなかった。

 開港前、JR小倉駅と北九州空港を地下鉄でつなぐ構想もあったが、利用者数が伸び悩み、凍結状態のままとなっている。

 北九州市は一時期、旅客が主な福岡空港に対し、貨物に傾注して機能分担を図ろうとも模索し、一定の成果も挙げた。

 だが、やはり空港として存在感を高めるには、旅客機の発着増加が欠かせない。

 そこに福岡空港の混雑問題が浮上した。

 過密ダイヤが指摘される福岡空港に対し、国土交通省は昨年9月、航空法に基づく「混雑空港」に指定する方針を固めた。今月27日以降、発着回数が制限され、新たに乗り入れる場合は国の許可が必要となる。

 福岡空港に乗り入れられなかった格安航空会社(LCC)などについて、北九州空港が受け皿となるケースが想定される。実際、航空会社から北九州市への問い合わせは昨年秋以降、増加している。

 福岡県は28年度予算案に、北九州空港への誘致などの費用として、前年度を1千万円上回る2億7千万円を計上した。LCCや、福岡空港では運航できない午後10時から翌朝7時の便を対象に、航空会社に助成金を出す。県によると、他の地方空港なみの助成額になるという。

 北九州エアターミナルの片山憲一社長は「空港の福岡への近さをアピールするには、空港の名称に『福岡』の文字を入れるのも効果的だ」と名称変更にも言及した。

 ◆アクセス充実を

 24時間空港の強みを発揮するには、深夜早朝を中心に交通態勢の充実が欠かせない。

 ニッポンレンタカー九州(福岡市)は1月、午前8時から翌朝午前1時まで開業する営業所を北九州空港横に設けた。今後、営業時間を早朝にも拡大する。

 西日本鉄道は昨年7月、県の助成を受けて、北九州空港と、福岡市中心部を約70分で結ぶ深夜早朝の「福北(ふくほく)リムジンバス」(1千円)の運行を始めた。1日4便を走らせる。

 知名度不足もあり、1便当たりの平均利用者数は、空港発が5・5人、福岡発3・3人と、目標ラインの10人を下回る。県は今年1月から「サラリーマン山崎シゲル」というツイッターの人気キャラクターを活用し、認知度拡大を狙う。

 県知事の小川氏は「『鶏が先か卵が先か』になるが交通の利便性を増す必要がある。福岡空港との相互補完を進めたい。私も東京で仕事をして遅くなったら北九州空港を使っています」とアピールした。

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【用語解説】北九州空港

 旧北九州空港(北九州市小倉南区曽根)が濃霧による欠航が相次いだこともあり、移転が決まった。平成18年3月に九州初の海上空港、24時間空港として開港した。滑走路は2500メートル。国内定期路線では、スターフライヤーなどが羽田便を、静岡市に本社を置くフジドリームエアラインズ(FDA)が名古屋・小牧便を運航する。国際定期便は、現在ない。