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出雲大社の「昭和のモダン」「庁舎」建て替えへ平成の大遷宮

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出雲大社の「昭和のモダン」「庁舎」建て替えへ平成の大遷宮

 出雲大社(島根県出雲市)は、境内で異彩を放っているモダンなスタイルの「庁舎(ちょうのや)」を、和風建築の施設に建て替える方針を固めた。新しい庁舎には、伝統の神事で使う「榊之間(さかきのま)」を復活させる考えで、国宝・本殿などを改修した「平成の大遷宮」が一段落する今月以降、2期工事として着手。平成30年頃の完成を見込んでいる。

 庁舎は、社務所や迎賓館としての役割を果たしてきた施設。現在の庁舎は、昭和を代表する建築家の菊竹清訓氏(昭和3年~平成23年)が設計した。菊竹氏は「建築と都市の新陳代謝」など独自のデザイン論を掲げて昭和の建築界をリードし、大阪万博のエキスポタワーや沖縄海洋博のアクアポリスなどを設計。2000(平成12)年には「20世紀を創った世界建築家100人」の一人に選ばれた。

 庁舎は、刈り取った稲束を架けて干す出雲地方独特の風景「はでば」のイメージを取り入れるとともに、横桟の間に特殊ガラスをはめ込んで採光するモダンなデザインを採用するなどして昭和38年、拝殿西側に完成。鉄筋2階建て(延べ685平方メートル)で貴賓室などを備えている。

 同年の建築業協会賞を受賞するなど高い評価を受け、古式ゆかしい神社建築の社殿が建ち並ぶ境内で、ひときわ異彩を放つ建物として参拝者らに親しまれてきた。

 しかし、近年は老朽化が進み、コンクリート壁に亀裂が入るなどして雨漏りが激しくなり、安全面で問題があるとして出雲大社が建て替えを決定。かつての庁舎には、5月の例祭や11月の「古伝新嘗祭(こでんしんじょうさい)」など重要な祭礼の際に神事の一部を行う榊之間があったが、現施設には設けられていないため、新しい庁舎に復活させることにした。

 「神社建築の伝統を損なうことなく近代感覚を盛り込んだ建物だったので、なくなるのは残念だがやむを得ない。新しい和風の庁舎は大遷宮の締めくくりとして平成30年頃にお披露目したい」と出雲大社社務所。新施設の設計についても、菊竹氏にゆかりのある人たちに依頼する考え。2期工事では、庁舎と合わせて宝物殿「神●殿(しんこでん)」の大規模改修も予定している。

●=示へんに古