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【伝える ある震災遺族の5年(1)】七十七銀行女川支店に勤める息子は戻らなかった 「山に避難したはずだ」…そう信じていたのに

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【伝える ある震災遺族の5年(1)】
七十七銀行女川支店に勤める息子は戻らなかった 「山に避難したはずだ」…そう信じていたのに

大学の卒業式に出席し、長男の健太さんを囲む田村さん夫妻=平成20年3月22日、東京都千代田区(田村孝幸さん提供) 大学の卒業式に出席し、長男の健太さんを囲む田村さん夫妻=平成20年3月22日、東京都千代田区(田村孝幸さん提供)

 「抱きしめてあげればよかった」 銀行の対応に募る不信

 「息子の部屋にあるものが、何もかもいとおしく思えるんですよ」

 東日本大震災の津波で七十七銀行女川支店(宮城県女川町)の従業員だった長男、健太さん=当時(25)=を亡くした田村弘美さん(53)。大崎市にある自宅2階の一室でつぶやいた。

 首都圏にある専修大を卒業した健太さんは平成20年4月、同行に入行した。父、孝行さん(55)は単身赴任中。大学生だった妹も東京で暮らしており、配属後2年間は弘美さんと実家に2人。始業より1時間早く仙台駅に到着し、支店近くの喫茶店で新聞に目を通すのが日課だった。

 「あの気丈な健太がしょげるくらい仕事は大変そうだったけど、誇りを持って打ち込んでいました」

 支店で窓口業務に従事しながら、研修所では資格取得に向けて勉強する日々が続いた。「3年は頑張ってみなさい。誰もが通る道だから」。弘美さんは健太さんを励まし続けた。

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