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【震災5年 3・11】横浜駅のアートに復興への願い込め

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【震災5年 3・11】
横浜駅のアートに復興への願い込め

 ■地元のガラス作家・野口真里さんが作品集刊行

 横浜市港南区で生まれ育ち、制作活動を続けるガラス作家、野口真里さん(53)が初の作品集「瑠璃色の通い路-野口真里ガラス作品集」を刊行した。作品集では、平成23年12月に横浜駅の玄関口に設置したウエルカムゲートなどの誕生秘話を明かすとともに、東日本大震災の復興への思いもつづっている。  (古川有希)

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 横浜駅東口の商業施設「横浜ポルタ」入り口でひと際存在感を放っている野口さんの作品群。横浜を代表する歴史的建造物「横浜三塔」(県庁、横浜税関、横浜市開港記念会館)をモチーフにし、高さ5メートルを超す巨大なウエルカムゲートと、多数のカモメが描かれたガラススクリーンやステンドグラスなどで構成されている。

 かねてから、「横浜駅は横浜の玄関なのに横浜らしさが全くない」ことを残念に思っていた野口さんは、横浜ポルタのリニューアル計画の話を聞き、大震災直後の同年4月に行われた空間デザインコンペに参加。「横浜の玄関口に横浜の歴史・文化の象徴である横浜三塔を“建てて”、空間を横浜らしさで満たしたい」と訴えたところ、見事採用を勝ち取った。

 実は、完成した作品には横浜への愛着とともに、もうひとつの「願い」が込められている。

 野口さんは20年以上前、銘菓「かもめの玉子」で有名な岩手県大船渡市の製菓会社「さいとう製菓」の社屋に壁面グラスアートを納めていた。その後、連絡は途絶えていたが、大震災で同社の社屋が津波で流されるというニュースを知り、いても立ってもいられず、斉藤俊明社長(当時)宛てに「横浜も港町で、カモメの町。横浜のカモメから大船渡のカモメにエールを送ります」というメッセージとともに、社屋の竣工(しゅんこう)時の写真を送った。

 数週間後、斉藤社長からお礼のファクスが届き、交流が再開。同じ頃、東口の空間デザインを手がけることが決まり、復興への願いを込めて、カモメもデザインに盛り込むことを決めたという。

 間もなく大震災から5年。野口さんは「被災地の方は既に頑張っていらっしゃる。励ましの言葉よりも、私たちがあの震災を忘れないで日々を頑張って生きていくことが一番大事だと思う」と力を込める。

 作品集には、東口の中央通路に配置している横浜発祥の柱プレートの解説や、横浜市出身の女優、五大路子さんとの対談なども掲載されている。

 非売品だが、10日には横浜ポルタ内で1千冊を無料配布するなど、応相談で希望者に頒布するという。問い合わせはマリエンバード工房(電)045・846・2387。