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【人が消える】房総の空き家・移住政策(4)行政も「勝ち組」と「負け組」

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【人が消える】
房総の空き家・移住政策(4)行政も「勝ち組」と「負け組」

 ■県内36市町で「転出超過」

 「住民基本台帳人口移動報告」(総務省)は、出生や死亡といった自然増減を加味しない人口統計だ。このため、「人を引きつける魅力」の有無を色濃く反映した指標になっている。平成27年の調査によると、3大都市圏(東京、大阪、名古屋)では東京圏のみが「転入超過」となっている。

 だが、本県では全54市町村のうち、3分の2の36市町が「転出超過」だ。ワースト1位は660人減の銚子市。人口9万人台だった昭和40年代をピークに転出超過が続く。平成2年からは自然減も始まり、人口減少が加速している。

 市企画課は「仕事は1、2次産業ばかりで若者には魅力がない。単に魚を捕るだけでなく、ネットショップを開設したり、成田の免税店で鮮魚を外国人に売ったりすることを考えている」と話す。

 ◆生き残りかける

 「千葉県のほぼ中央」(町ホームページ)に位置する長南町も、長生郡の周辺自治体とともに人口流出に苦しむ。27年国勢調査の速報値によると、町の人口は5年前の前回調査と比較して、867人減り8206人となった。9・56%の減少率は、県内市町村でワースト2位だ。町企画政策課の担当者は「地域の生き残りをかけ、減少に歯止めをかけなければならない」と厳しい言葉で危機感をあらわにする。

 海に囲まれた本県では、交通網が発達しない“陸の孤島”が各所にある。高速道路が少なく、鉄道が通っていない同町はその典型だ。

 とはいえ、25年4月には首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の茂原長南インターチェンジ(IC)完成という明るいニュースもあった。来年度からは乗り合いタクシーや町内巡回バス、路線バスといった公共交通網の見直しを図るという。「高齢者の移動手段は重要。買い物難民を生まないようにしないといけない。暮らしやすいスモールタウンを目指す」(担当者)

 ◆近隣市に流出

 また、昨年の国勢調査で長南町を超えて、最も人口減少率が高かった鋸南町の総務企画課は、人口流出が進む現状を「予測を上回る速さ」と表現する。

 主な流出先は、木更津、館山、君津の3市という。近隣市に住民を奪われている状況に、「雇用不足が一番の問題。定住にはなかなかつながらないかもしれないが、道の駅を活用して交流人口をまずは増やしたい」。

 一方で、人口約17万6千人(2月現在)と小規模ながら、2年連続で県内1位となる2989人の転入超過となっている流山市は、都心からのアクセスの良さが大きな魅力だ。

 市マーケティング課は「市の知名度を高めるのが重要と考えている。世間の話題となることを狙い、行政がこれまでやってこなかったようなチャレンジを『素早く連打する』ことが大事」と話す。施策は「数と速さ」が重要であるという意味だ。

 行政も「勝ち組」と「負け組」に明確に分かれるのが、人口減少時代である。(山本浩輔)