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TKU熊本ジュニアゴルフ塾最後の塾生、プロ目指す 古閑美保、上田桃子ら逸材輩出 熊本

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TKU熊本ジュニアゴルフ塾最後の塾生、プロ目指す 古閑美保、上田桃子ら逸材輩出 熊本

TKUゴルフ塾の最後の塾生、塚永千尋さん(右)を伊東コーチが温かく見守る=熊本市東区の広畑ゴルフ倶楽部 TKUゴルフ塾の最後の塾生、塚永千尋さん(右)を伊東コーチが温かく見守る=熊本市東区の広畑ゴルフ倶楽部

 女子プロゴルフの古閑(こが)美保選手(33)らトッププロを数多く輩出した熊本の名門「TKU熊本ジュニアゴルフ塾」が、3月末で惜しまれながら幕を下ろす。名指導者の坂田信弘プロ(68)が塾長を務め、テレビ熊本(TKU)が社をあげて塾の運営を後押しした。ゴルフ界に大きな功績を残した同塾では現在、最後の塾生がプロテスト合格を目指し、猛練習に励んでいる。(南九州支局 谷田智恒)

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 ■「私の原点」

 昨年末、TKUが熊本市内のホテルで開いた恒例の「年忘れ謝恩会」には、熊本ゆかりのゴルフ関係者が数多く詰めかけた。会場のレイアウトもゴルフ場をイメージしており、すべてがゴルフずくめだった。

 年が変わればやがてゴルフ塾も終わる。そんな一抹の寂しさを、出席者の誰もが感じていた。

 ゲストとして紹介された古閑氏は、壇上で感無量の表情を見せた。

 「塾がなければゴルフをやることも、今の私もなかった。ゴルフ塾は私の原点。指導してくれたコーチ陣には深く感謝しています」

 古閑氏は平成5年、ゴルフ塾の1期生で入った。小学5年生だった。その15年後、賞金女王の座に上り詰めるまでに成長を遂げた。

 恩師である坂田氏には、TKUの本松賢社長が感謝状を贈った。坂田氏は拍手を送る古閑氏を見るなり、「この美人の顔が日本のゴルフ界を変えたんです」と会場の笑いを誘った。

 「3人いるコーチ陣で1人でも欠ければ、これまで築き上げた今日の塾はなかったと思います」と誇らしげに語った。

 ■熊本から世界を

 ゴルフ塾は平成5年にできた。その2年前、当時はTKUの営業部長だった本松氏が米アトランタで開催されたゴルフの祭典「オーガスタ・マスターズトーナメント」を観戦したのがきっかけだった。

 そこで熊本市出身でゴルフ雑誌の取材で来ていた坂田氏に出会った。2人はゴルフ談義で盛り上がり、「熊本から世界に通用するプロゴルファーを育てよう」と意気投合した。

 帰国後、何度も訪ねる本松氏の熱意にほだされ、坂田氏はボランティアで指導者になることを快諾した。

 当時はまだ子供がプレーできる環境が十分に整っているとはいえなかった。そこで、本松氏は自ら靴底を減らし、県内のゴルフ場を訪ねて回った。それに「熊本ゴルフ倶楽部湯の谷コース」が協力を申し出た。3人のコーチも集まった。

 塾は小学4年生から高校生を対象にした。レッスン料や施設使用料、用具代まですべてを無料にした。

 試合があればコーチ陣が塾生らを会場まで車で送り、試合が終わると練習場に戻り、日が暮れるまで練習し、試合で分かった問題点を解決していった。

 そんなコーチ陣の熱血指導もあり、全国的に知名度が広がった。笠りつ子プロ(28)ら総勢25人のプロ選手を育てた。4期生の上田桃子プロ(29)は19年に賞金女王に輝いた。

 ■使命は達成

 だが、ゴルフ塾は同年の15期生を最後に、塾生の募集を止めた。その理由を、本松氏は「坂田プロと塾を始めたころと、状況が一変した。今や学校から練習場、ゴルフ場まで、ジュニアゴルファーが練習に打ち込める環境も整った。当初の使命は達成されたと思います」と打ち明けたが、心残りはない。

 現在、同塾では14期生の東海大付熊本星翔高3年、塚永千尋さん(18)が「最後の塾生」として、同塾の伊東龍志コーチが経営するゴルフ倶楽部で、黙々と練習に励んでいる。

 13期生の姉、千晶さんの後ろ姿を見て、ゴルフを始めた。25年には「九州高校ゴルフ選手権新人戦」を制すなど、頭角を現した。

 塾の大先輩、上田氏が目標だ。「最後の塾生として、恥ずかしくないようなプレーで、プロになりたい。夢は海外でも通用する選手になることです」

 その言葉に気負いはまったくない。

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