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北九州市当初予算案 総額5515億円、介護ロボット開発に注力

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北九州市当初予算案 総額5515億円、介護ロボット開発に注力

介護施設でベッドに横たわる入所者を抱え上げる職員。ロボット技術による職員の負担軽減が期待される 介護施設でベッドに横たわる入所者を抱え上げる職員。ロボット技術による職員の負担軽減が期待される

 ■戦略特区で導入支援へ

 国家戦略特区に指定された北九州市は17日、介護ロボット実用化を目指す事業計画を発表した。介護の現場にも協力を仰ぎ、実用ロボット開発を、市内外のロボットメーカーに促す。超高齢社会を見据え、介護ロボットと人間が共存するモデル創設を目指すもので、同日発表した平成28年度当初予算案に、介護ロボット導入支援として、27年度2月補正分と合わせて1億2800万円を計上した。(九州総局 奥原慎平)

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 「介護の現場では、書類記入などの作業に、時間をとられる場合も多い。ニーズを調査し、こうした現場の課題を解決するロボット開発を後押しする。自治体が、介護現場とロボットメーカーと結びつける試みはほかにないでしょう」。北九州市成長産業担当課長、柴田泰平氏はこう語った。

 介護の現場では、スタッフの労働環境の改善が急務だ。

 長時間の拘束に加え、肉体労働による負担が大きい。半面、給与は低いと指摘される。このため、介護職員の離職率(平成26年)は16・5%と高い水準にある。離職によって、残ったスタッフの負担がさらに大きくなるという悪循環に陥っている。

 こうした背景もあり、ロボット活用に期待が高まる。

 だが、介護ロボットは発展途上だ。

 介護士が装着して動きを補助する「パワーアシスト」や、リハビリの支援装置など、市販化されたロボットも多い。だが、「装着時間が長く、かえって不便」「ロボットのサイズが大きすぎる」など、メーカー側と介護現場の意識の乖離(かいり)がみられる。

 北九州市門司区の特別養護老人ホーム「サポートセンター門司」施設長の中村順子氏も「いくつか介護ロボットを導入したけれど、ロボット側に人間が作業を合わせなければならなかった。もっと現場の声をくみ取った介護機器が必要だ」と訴えた。

 北九州市はまず、介護現場の実態調査から取り組む。

 今春以降、産業医科大(八幡西区)の協力も得て、現場での作業の様子を分析する。既存のロボットを介護現場に提供してもらい、使い心地をフィードバックして、改良を促す。

 現場の声を反映させることで、使い勝手のよい介護ロボット開発を目指す。

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 介護ロボットは産業として、地元経済の新たな牽引(けんいん)役になる可能性を秘める。市場調査会社「富士経済」(東京)は、介護ロボット(歩行・移乗)市場は平成33年には155億円と26年の19・4倍に拡大すると予測している。

 安川電機の次期社長に内定している小笠原浩氏は産経新聞の取材に「市の実証試験に協力したい。わが社にとっても、市内外のロボットメーカーに、モーターなどの販売を拡大する機会ともいえる」と語った。

 同市では特区に指定されて以降、市外のロボットメーカーからの問い合わせも増えているという。

 さらに介護ロボット産業は、中国や韓国など高齢化が進むアジア諸国に進出することもできる。

 「高齢化というピンチをチャンスに変えたい。事業が成功すれば、全国で(北九州の取り組みが)採用されるだろう。石炭、鉄鋼で始まった北九州のものづくりスピリットを生かせるよう、バックアップしたい」

 北橋健治市長は17日、市役所での記者会見でこう語った。

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 北九州市は17日、一般会計を5515億円とする平成28年度当初予算案を発表した。臨海部埋め立て事業の清算で特例地方債(借金)を発行した27年度当初の特殊要因を除くと、実質1・0%増で3年連続のプラス。

 歳出は、首都圏からの本社機能移転などを促す事業に3億円、海外の映画やテレビドラマのロケ誘致や撮影支援として1千万円を盛り込んだ。

 歳入の内、市税は個人市民税などが増え、0・4%増の1574億円と見込む。