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福岡市で世界水泳開催決定 市の地力発揮、2001年大会高評価も後押し

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福岡市で世界水泳開催決定 市の地力発揮、2001年大会高評価も後押し

世界水泳選手権の開催決定を喜ぶ福岡市関係者=1月31日午後、福岡市役所 世界水泳選手権の開催決定を喜ぶ福岡市関係者=1月31日午後、福岡市役所

 福岡市が国際イベント、2021年の世界水泳選手権誘致に成功した。国際水泳連盟(FINA)による選定の材料となったのは、関係者で語りぐさとなっている2001年福岡大会の成功と、数々の国際会議や大会を開催してきた福岡市がもつ「地力」だといえる。 (九州総局 奥原慎平)

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 「決まった、決まった、決まった!」

 1月31日午後8時20分。FINA理事会が開かれたハンガリー・ブダペストから、福岡市役所の応接室にいた貞刈厚仁副市長に、福岡決定を知らせる電話がかかった。貞刈氏は関係者30人と喜びを分かち合った。

 世界水泳は17日間の大会期間中、国内外から30万人の来場が見込まれる。日本政策投資銀行九州支店の試算によると、経済効果は310億円という。

 福岡市ではスポーツのビッグイベントが続く。

 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)で、日本大会の開催都市の一つに選ばれた。2020年東京五輪・パラリンピックでも、スウェーデンのキャンプ地に決まった。世界水泳も含め、福岡市の情報を国内外に発信する絶好の機会となる。

 市は今回、FINAに対し、競技会場を半径600メートル圏内に集中させるコンパクトな運営に加え、MICE(国際会議や大規模展示会などの総称)の誘致実績をアピールした。

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 スポーツイベントだけでなく、MICE誘致で福岡市は“連戦連勝中”だといえる。

 市内での開催件数は平成19年の151件から、26年は336件と2倍以上になった。日本全国の開催件数の増加率2割に比べ、いかに多くの会議が福岡に集まったかが分かる。

 背景には国家戦略特区「創業特区」に指定され、人口増も続くという福岡市の活力がある。高島宗一郎市長は26年度、MICE誘致に特化した専門部門を設立し、誘致に取り組む。

 こうした努力が奏功し、市内では今年5月に、世界中から医師が集まる「国際小児内視鏡外科学会」が開かれる。そして6月には3万5千人が訪れる「市が経験したことのない最大規模のコンベンション」(高島氏)というライオンズクラブ国際大会もある。

 都市としての総合力を発揮した結果だといえる。

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 一方、2001年の世界水泳福岡大会の「遺産」も、2021年につながった。

 「なんといっても2001年は素晴らしい大会で、連盟でも語りぐさになっている。あの大会が『世界水泳』の転機にもなったんです」

 昨年12月中旬、福岡を視察に訪れたFINAのコーネル・マルクレスク事務総長は、貞刈氏にこう語りかけた。マルクレスク氏が称賛したのは、メーン会場のマリンメッセ福岡(博多区)に市が準備した50メートルの仮設プールだった。

 福岡市が世界水泳の誘致に動いた1995(平成7)年ごろ、市内には世界水泳に必要な50メートルのプールは、県立総合プール(博多区)と市総合西市民プール(西区)だけだった。2カ所だけでは、シンクロナイズドスイミングや水球など数多い種目に対応できず、観客席も足りない。

 かといって、数万人収容の屋内プールを新設するのは、大会終了後の維持費を考えると、不要な「箱物」になりかねなかった。

 福岡市は、仮設方式に着想した。

 当時、仮設プールは水圧の問題などから、25メートルが限界とされていた。市はヤマハ発動機(静岡県浜松市)に声をかけ、船舶のFRP(繊維強化プラスチック)技術を応用し、世界で初めて水深3メートル、50メートルの仮設プールの設置に成功した。

 50メートル仮設プールは、FINA側にも大きなメリットがあった。50メートルの大型プールを持たない都市に、大会を広げることができた。

 95年当時、市スポーツ振興課の係長として、世界水泳誘致に尽力した星子明夫氏(60)=現環境局長=は「相手のニーズが何か、自分たちの切れるカードが何か。突き詰めて発想するのが博多の気質です」と、2度目の誘致成功に胸を張った。