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震災事業費横領に実刑判決 「被災者愚弄している」 岩手

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震災事業費横領に実刑判決 「被災者愚弄している」 岩手

 東日本大震災の被災者を救済する公金を横領し、マンションなどを購入したとして、NPO法人「大雪りばぁねっと。」の元代表理事とその妻に19日、実刑判決が言い渡された。被災者だけでなく国民感情をも逆なでした横領事件の発覚から2年。関係者の憤りは今も募る。

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 「被告人岡田栄悟を懲役6年に、被告人岡田光世を懲役2年6月に処する」

 48ある傍聴席がすべて埋まった盛岡地裁の法廷で、岡田健彦裁判長は判決文を読み上げた。薄いグレーの作業着姿の栄悟被告(37)=元代表理事=と、縦じまのシャツに半袖のセーター姿の光世被告(34)=経理担当=は身じろぎせず、聞き入った。

 両被告が業務上横領などの罪に問われたのは、被災者向けの緊急雇用創出事業費約5300万円。しかし、事業の委託元の山田町が試算した使途不明金だけで1億8千万円にも上り、町は栄悟被告を相手取り総額約6億7千万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。

 盛岡市内で陳情活動をしていた佐藤信逸(しんいつ)町長は県庁内で記者会見し、「明日、明後日がわからない被災者を愚弄する行為だった」と断罪した。これまでの公判で両被告は起訴内容を否認し、自らの行為を正当化。動機についても話しておらず、佐藤町長は「今回の刑事事件の裁判が民事における基礎になればと思う」と付け加えた。

 補助金を交付していた県商工労働観光部の菅原和弘部長も「県民が必死に復旧・復興に取り組んでいる中での事件であり、被告には判決の重みをしっかりと受け止めてほしい。最後まで容疑を否認し、謝罪する姿勢を示さなかったことは、極めて遺憾である」とのコメントを出した。

 閉廷後、栄悟被告の弁護人、有泉智博弁護士は「こちらの主張が全部受け入れられなかった。残念だ」と述べる一方で、「控訴についてはこれから話し合う」と話し、近日中に栄悟被告に接見し、話し合う考えを示した。