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【盛り上げよう群馬 輝くブランドへ】漫画家・井田ヒロトさん

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【盛り上げよう群馬 輝くブランドへ】
漫画家・井田ヒロトさん

 ■トチギ、イバラキのみ込め

 「お前はまだグンマを知らない」。昨年10月、群馬に異動してきた直後、書店で見たコミックのタイトルは、剛速球のように目に飛び込んできた。すぐに買った。一気に読んだ。面白い! ハイテンションでスピード感あふれる作風とは違い、素顔を出さない覆面作家の井田ヒロトさんは、静かな口調で「グンマ」への思いを語った。

                  ◇

 平成26年3月にこの世に出た「お前-」は、昨年11月に最新刊の5巻が発売され、「累計45万部のヒット。ニッチ(隙間)な題材なのに驚くほど売れている」(出版元の新潮社)。前橋市の書店、煥乎堂(かんこどう)の担当者も、「バケモノみたいな売れ行き。県外に住む群馬出身者も面白い、と読んでいるそうです」と話す。

 漫画の舞台はあくまで「グンマ」だが、登場人物の高校生らが地元のトリビアなネタを披露しながら、仮想敵「トチギ」や「イバラキ」、そして時に「チバ」「サイタマ」とも張り合うというストーリーだ。

 「企画を何社かの出版社に持ち込んでも、『こんなもの売れるか』という返答でした。しかし、群馬のいろいろなことを調べるうちに、どんどん面白く感じ、絶対売れる、と確信したのです」。結果的に、井田さんの思うとおりになった。

 「ネタは大丈夫か、とよく聞かれますが、まだまだ、8巻までは大丈夫」

 なぜ、群馬をテーマにした作品を思い付いたのか。

 「5年ほど前、ネット上で『グンマ』とカタカナ書きし、北関東の秘境などとくさすのがはやり出したんです。それに反論もせず、自己PRもアピールもないまま、県内の人も県外の人も実像が分からないのはおかしい。ならば漫画にしてみよう、と」

 作品中、県民なら誰でも分かる「上毛かるた」の札の中身を当てさせ、グンマ人かどうかを判別するといった笑えるシーンとギャグが満載だ。

 「他県の人は、どこまでが本当の『グンマ』か、と思うでしょうが、それこそが私の狙いです」とニヤリと笑う。

 さて、井田グンマ知事なら、この地をどうしたい?

 「トチギ、イバラキをのみ込み、3県で北関東州を結成します。そして、前橋と高崎の合併で、州都としますよ。北関東の覇者は、グンマ!」

 あくまで夢です、といいながらも目は真剣だ。

 「大河ドラマに決まる前から(初代県令の)楫取素彦のことを調べたりしていたんですが、知れば知るほど、群馬のすごさにひかれました。でも、そうしたすごさ、素晴らしさはどこの土地土地にもあるんじゃないですか。それを認め合うことが大切なんだと思う。群馬は、観光客の誘致より、今ある第1次、2次産業の充実を図るべき。それこそが、地に足がついた政策じゃないですか」

 最後にギャグはなかった。(谷内誠)