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仙台空港、7月に民営化 震災復興・地域活性化目指す

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仙台空港、7月に民営化 震災復興・地域活性化目指す

 東日本大震災からの復興と地域経済の活性化を後押ししようと、仙台空港(名取市、岩沼市)は7月1日、国管理空港として全国で初めて民営化される。県は空港を拠点に国内外から観光客を呼び込み、東北地方へのヒトとモノの流れを作り、震災からの復興の象徴にしたい考えだ。県が民営化方針を固めてから4年間の道のりを振り返り、今後の動向を探った。

 ◆4年前に知事が構想

 「仙台には仕事で良く来るが、とてもきれいな街。ソウルにも仙台を訪れたいという人はいます」

 12月、仙台空港の搭乗ゲート。日本で通訳として働いている韓国人男性はこう話し、ソウル行きの韓国・アシアナ航空の白い機体で飛び立った。

 民営化される7月以降、こんな風に仙台にやって来る外国人が大きく増えるかもしれない。

 国土交通省が「空港運営のあり方に関する検討会」の最終報告書を取りまとめたのは平成23年7月。報告書には、航空系事業と非航空系事業の経営一体化の推進や、民間の専門的知識・経験を活用する方針が示された。これを踏まえ、村井嘉浩知事が24年2月に「民間の資金、知恵、力を全面に押し出し、行政がサポートする形で仙台空港を大きく飛躍させる」と民営化の構想を示した。

 今回の民営化では、所有権は国に残したまま、運営権を民間企業に売却するコンセッション方式が導入される。2月には空港ビルの経営権を移管し、7月に滑走路の維持・管理や着陸料の収受などを含めたすべての運営を民間に委託する。

 仙台空港も他の地方空港と変わらず赤字体質だった。県空港臨空地域課も「これまで滑走路や空港ビルなどはバラバラに管理されていた」と従来の非効率を認める。

 ◆流れ変えた「3・11」

 その流れを変えたのが23年の東日本大震災だ。東北の観光や地域経済は大きな打撃を受けたが、これを打開するための一つの策として浮上したのが空港民営化だった。

 《仙台空港を起点に、観光客など東北各地への交流人口を増やし、震災からの復興や地域経済の活性化を狙う》

 これが県や村井知事の狙いだった。同課も「東北全体に恩恵をもたらそうという知事の構想が、地域住民の理解や地元経済界からの後押しを得られ、(他の空港より)いち早く動けたのでは」と振り返る。

 運営権の獲得には4つの企業連合が名乗りを上げたが、この争いを制したのは東京急行電鉄や前田建設工業など7社の連合。国交省関係者が「必ずしも金稼ぎだけが目的ではない。空港がどう機能を果たすべきかを総合的に考えた」と明かすように、東急連合が勝ったのは仙台空港を「グローバル・ゲートウェイ(世界への玄関口)」とするコンセプトのおかげだった。

 仙台空港を世界から東北の玄関口にし、復興へ向かう地域全体を活性化し、風評被害を払拭する-。国や県が描いたグランドデザインに見事に合致した。

 ◆乗客数で着陸料変動

 東急によると、今回の民営化に伴い、格安航空会社(LCC)の新規乗り入れを増やす▽航空機の大きさや重さにかかわらず着陸料を乗客数に応じて変動させる仕組みを導入する▽324万人の利用客数を32年度に410万人に増やす▽ターミナルビル内で商業機能を充実させ「東北ブランド」を発信する▽外国語で対応できる案内所機能を増強する-などの施策を進めるとしている。

 「多様なノウハウを空港運営に生かしたい」と語る東急。現在、高松空港や広島空港などでも民営化の検討が進んでおり、「第1号」の仙台空港はまさに“試金石”となる。(岡田美月)