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千葉県行徳野鳥観察舎、28日に休館 耐震性に問題 住民ら、存続願い署名運動

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千葉県行徳野鳥観察舎、28日に休館 耐震性に問題 住民ら、存続願い署名運動

 昭和54年の開館以来、野鳥ファンや近隣住民に愛されてきた県行徳野鳥観察舎(市川市福栄)が28日に休館する。建物の耐震性能が非常に低いことが判明し、急遽(きゅうきょ)決まった。今後については未定だが、県行政改革審議会では廃止の方針が示されている。一方で、利用者らは署名を集めるなどして存続を求めている。(山本浩輔)

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 ◆市民の憩いの場

 同観察舎があるのは、280種以上の野鳥の飛来が確認されている「行徳鳥獣保護区」の水辺のほとり。保護区は賓客接遇の場などとして使われている宮内庁の新浜鴨場と隣接している。都心の近くで渡り鳥を見るのに最適な場所の一つで、今の季節はユリカモメやセグロカモメなどを観察するため、各地から野鳥ファンらが訪れている。

 周囲を広く見渡せる3階建て観察舎の2、3階には計44台の望遠鏡が設置され、小学校の1クラスの全児童が一度に使うことができるため、課外授業などでも多く使われてきた。一帯は遊歩道が設置されて緑も多く、周辺住民の憩いの場となっており、県自然保護課によると、平成26年度の観察舎の利用者数は1万2885人だった。

 観察舎の運営は県が、NPO法人行徳野鳥観察舎友の会に委託している。同法人は隣接する、県内の傷ついた鳥が集まる野鳥病院運営と、保護区の管理も委託されている。

 ◆崩壊の危険性

 以前から老朽化が指摘されていた観察舎の耐震診断結果が出たのは10月末。構造耐震指標(Is値)は最も低い場所で0・11だった。0・6未満で「補強の必要性がある」(県)、0・3未満で「倒壊、崩壊する危険性が高い」(国交省)とされるが、これらを大きく下回った。

 また、外部委員らで構成する県の行政改革審議会でも11月、老朽化などの問題があるとして、県が「県施設として維持する必要性が低いため、廃止する方向で検討を行う」との案を提出した。

 これを受けた審議の後、県民に意見を求めるパブリックコメントの手続きを経て、来年度初頭を目安に県が方針を決定することになり、ひとまず休館という“宙づり”状態となった。野鳥病院での鳥の救護と保護区内の野外観察会などは引き続き行われる。

 ◆小学生が署名

 観察舎に来て休館を知ったという市内の工藤佳子さん(39)は「6歳の長男は、ここのおかげで鳥の名前を覚えました。びっくりした」。大きなレンズのカメラを携え、「週に8割来ている」という菅沢昭雄さん(76)は「残念です。建物の中からでないと撮影できない場所もある」と話した。

 観察舎を運営するNPO法人の山口誠主任研究員は「観察舎には歴史があり、知名度もある。何とか残したい」。同法人の会員、三木信行さん(50)は「福栄小学校の児童が署名をたくさん集めている。できることをやりたい」として、24日に観察舎の存続と再開を求める355人分の署名を森田健作知事に送付した。