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多々良沼「トリ騒動」 ハクチョウ飛来減少、異変 群馬

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多々良沼「トリ騒動」 ハクチョウ飛来減少、異変 群馬

 ■オオタカはカモ襲撃 餌を横取りカラス

 ハクチョウの飛来で知られる邑楽町と館林市にまたがる多々良沼(通称・ガバ沼)。地元住民の餌付の成果で増えたハクチョウの優雅な様子を見に行くと、例年なら100羽を超えるはずが、たったの27羽。しかも思わぬ「トリ騒動」が起きていた。異変の沼をルポする。

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 ことの発端はオオタカの出現だった。

 地元の「白鳥を愛する会」の時崎清会長(70)によると、会員らが日に2回餌を与えていたカモを狙うつがいのオオタカが現れ、今では沼近くの林で営巣し、幼鳥含め複数のオオタカが繁殖しているという。そこに猛禽(もうきん)類の撮影を狙い巨大な望遠レンズを持ったアマチュアカメラマンが集結。オオタカの襲撃シーンを待つため、ハクチョウが警戒して餌を食べに寄ってこなくなったというのだ。

 カメラマンにすれば、希少なオオタカが獲物を捕らえる瞬間をキャッチできるのは撮影の醍醐味(だいごみ)。夢中になるのは分かる。カメラマンの一人が記者に見せてくれた写真は、オオタカがカモを捕らえ、それを横取りしようと襲いかかるオオタカの幼鳥などが迫力満点に写っていた。

 一方、愛する会の会員らは、長年ハクチョウとともに餌を与えてきたカモが食べられてしまうのだから、彼らにいい感情は持てない。対策として、餌やり場から離れて撮影することを求める看板を立て、カメラマンに注意を促した。加えてごみを散らかすなど、そのマナーの悪さも周辺で耳にした。

 さらに、ハクチョウの飛来数そのものの減少も心配だ。平成17年に沼が真っ白になるほどの601羽が飛来したが、「暖冬も考えられるが、日本海側に雪が降れば、食べるものが少なくなって飛んでくるかも」と時崎会長は話す。

 また、ハクチョウ、オオタカ、カモのトリ騒動に輪をかける存在がカラス。警戒するハクチョウに代わり、事態を知った(?)カラスが空が真っ黒になるほど現れ、餌のパンを食べてしまう事態という。

 以前は絶滅が心配されたオオタカだが、環境省によると現在はレッドリストカテゴリーから外れ、全国で6千羽ほどまで増えているという。ガバ沼の騒動について聞くと、「住民との間でトラブルの原因になっているとは聞いたことがない」(自然環境局野生生物課)と驚いていた。

 美しい湖沼が舞台の騒動、うまい解決策がないものか。複雑な思いで沼を後にした。(橋爪一彦)