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福岡市の特区、法人所得20%控除で最終調整 創業に追い風

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福岡市の特区、法人所得20%控除で最終調整 創業に追い風

 政府・与党内で大詰めを迎えた平成28年度税制改正大綱の協議の中で、国家戦略特区を対象に、法人所得の20%を課税対象から差し引く制度の創設で最終調整が進んでいる。実現すれば、事実上の法人税減税であり、福岡市の「創業特区」にとって、大きな後押しとなる。 

 福岡市の高島宗一郎市長は、「世界で最もビジネスがしやすい環境を目指す」として、法人税減税を特区施策の「本丸」と位置づけ、政府・与党に訴え続けた。

 実際、海外の経済特区は、法人税などの減免措置があるケースが多い。福岡をはじめ、現在の日本の法人税実効税率は32%程度だが、高島氏は「シンガポールの17%より低い水準」を求めてきた。11月10日の記者会見でも「創業から間もない企業は、法人税がなかなか払えない。欧米の企業がアジアに進出したいと考えたとき、他国と比較して日本の実効税率は高く感じられる。岩盤規制に穴を開けるために知恵を絞りたい」と述べた。

 安倍晋三首相は法人税減税に意欲を示す。今回の税制改正大綱でも、法人税実効税率を28年度に29・97%、30年度に29・74%に引き下げる案が盛り込まれる見通しとなった。

 ただ、財政再建の観点から減税に慎重な財務省は、特区における減税「上乗せ」には強く反対してきた。

 日本の成長のエンジンとして特区の成果を出したい政府や地元自治体と、減税に慎重な財務省の間での綱引きの結果、減税ではなく課税対象からの控除という形が浮上した。

 議論の中では、創業5年以内で国の認定を受ける企業が対象となっているもよう。法人所得のうち20%を、課税対象から控除することで税負担を軽くする。減免は一定の期間に限定する。

 同様の措置は、23年に始まった「国際戦略総合特区」でも実施された。

 税負担の減免で、福岡市の創業特区に弾みが付くのは間違いない。

 国家戦略特区は、地域を限定して大胆な規制緩和を進める政府の政策だ。地域経済を活性化し、成長のエンジンとして全国への波及を目指す。安倍首相が掲げる成長戦略の要で、福岡市は昨年5月、新たな起業と雇用を生み出す「創業特区」に指定された。

 市は、全企業に占める新規企業の割合である「開業率」を、現在の倍の13%にすることを目標に掲げ、国の事業や規制緩和を活用してきた。

 その一つが、天神地区に昨年10月に開業した起業家の支援拠点「スタートアップカフェ」だ。投資ファンドの社員らが常駐し、アイデアを、実際の起業につなげる助言をする。同じ建物の中には、厚生労働省が開設する「雇用労働相談センター」がある。相談センターでは、弁護士らが法的な側面から経営に必要な情報を提供する。

 カフェや支援制度を活用し、すでに10人以上が起業した。創業の機運は高まる。

 さらに、特区ならではの税負担の減免措置が実現すれば、創業や企業移転のメリットが具体的に提示できるようになる。市幹部は「法人税引き下げそのものが難しくとも、控除で負担軽減につながれば、事実上の引き下げであり、歓迎だ」と語った。

 福岡市が目指す「起業家が集まる街」実現へ、追い風はさらに強まりそうだ。(高瀬真由子)