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秋山秋紅蓼・生誕130年 自由な俳句“再発見” 山梨

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秋山秋紅蓼・生誕130年 自由な俳句“再発見” 山梨

 「5・7・5」の俳句の定型や文字数の17字にこだわらず、自由でモダンな作風で知られる鰍沢町(現富士川町)出身の俳人、秋山秋紅蓼(しゅうこうりょう)(本名・鉄雄、明治18~昭和41年)の生誕130年を記念して、甲府市貢川の県立文学館で秋紅蓼の書画、原稿を中心とした館蔵資料展が開かれている。

 「バラの咲いた朝で夢の話をしよう」。秋紅蓼の代表的作品の中のひとつだ。相手に訴えるような叙情的で、俳句の定型をあえて避ける自由律俳句スタイルを貫いた。「山の桜が谷へ散り いまも古里である」。自由奔放の作風が聞く者を楽しませる。季語さえ含まない句を詠むこともあり、無季自由律俳句ともいわれる。

 秋紅蓼は鰍沢町の老舗呉服商「大黒屋」の次男として生まれた。肺を患い、病弱ながら10代から「ホトトギス」「国民俳句」などに投句した。明治44年から自由律俳句の荻原井泉水(せいせんすい)が創刊した俳句雑誌「層雲(そううん)」の発行に参加し、東京都千代田区で旅館業を営む時代もあったが、その後、文筆業に専念した。自らも句集「夜の富士」「兵隊と桜」「梅花無限」を発刊して、各800~1千句をまとめ掲載した。俳句評論も展開して自由律俳句のおもしろさを提唱。書画も残した。

 同館の保坂雅子学芸員は「俳句の17字の世界を守った飯田龍太らとは異なり、秋山秋紅蓼は18字や20字になる句を作った。句に広がりを感じ、モダンな秋山らしさが作品からにじみ出ている」と話し、句の背景に古めかしさがみじんもない点を高く評価している。

 秋紅蓼の館蔵資料展は、平成21年7月28日から同11月23日まで同館で開催した「秋山秋紅蓼の世界」以来の開催。展示品から自由律俳句の楽しさを十分に味わうことができる。書画の陶器とミカンを描いた作品には「壺中(こちゅう)天地ありここに一個の密柑(みかん)を置く」の句が記されているが、「蜜柑」を「密柑」とした理由は不明だ。このほか句をつづった短冊や、「鰍沢 富士川鉄橋」を描いたスケッチブック、昭和32年に作詞を担当した増穂南中学校校歌の楽譜なども展示している。

 同展開催は来年3月13日まで。観覧料は一般320円、大学生210円、高校生以下無料。毎週月曜日休館(来年1月12~19日は館内整備のため休館)。(電)055・235・8080。