産経ニュース

常総災害FM局が30日閉局 “使命感”が支えた2カ月半

地方 地方

記事詳細

更新


常総災害FM局が30日閉局 “使命感”が支えた2カ月半

 東日本豪雨で甚大な被害を受けた常総市で災害放送を行っている「常総災害FM放送局」が30日で閉局することが決まった。インフラ設備も整わず、情報が集まらない中での放送は大変な苦労が伴ったが、東日本大震災時の経験が生かされたという。被災から約2カ月半、スタッフを突き動かしたのは電波を通して被災者に有益な情報を発信するという「使命感」だった。(上村茉由)

                   ◇

 常総災害FM放送局は「FMぱるるん」で知られる水戸コミュニティ放送(水戸市酒門町)が常総市に申し出て開局、運営している。毎日午前9時~午後6時に、ポルトガル語、スペイン語、英語でも放送されている。

 平成9年に設立された水戸コミュニティ放送は、「そもそも災害時に役立つ放送局をという思いでつくられた」(海老沢逑夫(のぶお)放送局長)という。

 東日本大震災の際、同放送は番組内容を災害情報に切り替えた。電気も通らず、機材も散乱していたが、放送に足る最低限の機材で発電機を使って放送した。

 「懐中電灯で原稿を照らして読んでいた。当時もぎりぎりの状況でしたが、その経験があったから今回はスムーズに動けた」と話すのは、パーソナリティーを務める演歌歌手の水田(みた)かおりさん。常総災害FM放送局は、海老沢局長と水田さんが中心となって準備を進めた。

 臨時災害放送局は自治体が総務省に免許を申請しなければならないため、鬼怒川堤防が決壊した翌日(9月11日)、市役所に連絡を入れた。2日後の同13日に許可が下り、市役所3階から放送を開始したのは14日午前9時。水田さんは「とにかく夢中だった。情報発信者として『何かやらなきゃ』という使命感でやっていた」と話す。

 当初は常総市からの情報提供が遅く、市の担当各課や日本赤十字社などを自ら取材し、被災者が必要とする情報を必死で集めた。「情報は待っていても来ないという大震災時の経験が生きた」と水田さんは振り返る。通常のアナウンスはテンポの良さが大事だが、災害放送は確実に情報を伝えようと、ゆっくりと明瞭に話すことを心がけているという。

 被災から2カ月を過ぎると、放送で伝えるべき情報も当初より少なくなった。閉局の理由について、海老沢局長は「市の広報紙が正常に発行され、それが一つのめどだと考えた。災害放送も役目を終えたのでは」とし、30日の最後まで「全力で放送する」と語った。