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醸造用ブドウ、全国トップ 後継者不足や農地集積が課題 山梨

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醸造用ブドウ、全国トップ 後継者不足や農地集積が課題 山梨

 国内栽培のブドウを国内醸造する「日本ワイン」が人気だが、農林水産省関東農政局(さいたま市)は全国のワイナリーに醸造用ブドウの生産や買い取りの実態について、初の聞き取り調査を行い、201社から回答を得た。この結果、昨年栽培された醸造用ブドウの約3分の1を山梨県産が占め、全国トップだったことが分かった。一方、良質なブドウ栽培の維持・拡大に産地・山梨が抱える難しい課題も見えてきた。

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 ◆兼用品種、農家頼り

 調査は7月に実施した。生産量が多い山梨や長野、北海道以外は、「南東北」「関東」などで分類。計10地域で集計した。

 表のように、山梨で栽培された醸造用ブドウは7525トン。このうち9割弱の6673トンが県内で醸造に使われ、残りは全国に流通した。逆に、山梨は長野や南東北などで栽培された計823トンのブドウの供給を受けている。

 県内では、生食兼用で白ワイン用「甲州」が約半分の3764トンを占める。赤の「マスカット・べーリーA」、白の「デラウエア」も含め、兼用品種は全体の8割を超える。

 調査によると、全国のワイナリーが自社管理農園で栽培したブドウの量は、ワイン専用品種で全体の約3割だったが、兼用品種では約4%しかなかった。ほとんどが契約栽培と買い取りだ。

 農家に大きく依存する山梨のワイナリーは、後継者不足でブドウの生産量が減れば、大打撃を受ける。

 調査では、契約栽培の課題として、全国123のワイナリーが「農家の高齢化や減少」をあげている。

 ワイナリーが自社管理農場を増やそうとしても、適した農地の集積は容易ではない。農家の担い手育成や農業生産法人の参入促進が大きな課題だ。

 ◆広がる産地

 ワイン専用品種の産地は全国に広がっている。気候などの特性もあるが、山梨は赤のカベルネソーヴィニヨンが南東北と並びトップとなったものの、赤のメルローは長野に次ぎ2位、白のシャルドネは長野、南東北、東海近畿、九州に及ばず5位だった。

 調査では、専用品種を中心とした自社管理農場の植栽面積のシェアで、山梨は「植栽後15年以上」では22%だが、「6~15年」で12%、「5年以下」は9%となるなど、相対的な地位低下を示す項目もあった。

 全国に産地が広がっていく中、山梨の風土を感じさせる良質なワインを安定供給するには、醸造用ブドウの生産維持・拡大と品質向上が一層求められそうだ。

(中川真)