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日本人妻癒やした「慶州ナザレ園」熱唱 歌手いしざかさん 群馬

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日本人妻癒やした「慶州ナザレ園」熱唱 歌手いしざかさん 群馬

 半島に渡りながら、戦争などで寄る辺を失った日本人妻が暮らす韓国の保護施設「慶州ナザレ園」。日韓のすきま風と歳月の風化にさらされる歴史的施設を歌った曲「慶州ナザレ園」を19日夜、高崎シティギャラリー(高崎市高松町)でシャンソン歌手、いしざかびんがさん(64)=桐生市=がコンサートの中で披露した。「今年は戦後70年。不戦の思いを込めた」と語った。

 同園は昭和47年、韓国・慶州に設立された。戦時中に朝鮮人男性の妻として朝鮮半島に渡った後、夫と死別や離別などした日本人妻らが混乱の中、困窮する姿にクリスチャンの金龍成(キム・ヨンスン)さんが立ち上げた。反日感情が高まる中、金さんは「同胞の青年を愛してくれた日本人を見過ごせない」と話していたという。ナザレはイエス・キリストが幼少期から過ごした土地(現イスラエル)で、キリスト教徒には極めて重要な場所。

 金さんは平成15年に亡くなったが、亡くなる3年前にはナザレ園への支援を続けている高崎南ロータリークラブの招きで来日。その際、「慶州ナザレ園-忘れられた日本人妻たち」を書いた作家の上坂冬子さん(21年死去)と中曽根康弘元首相と三者会談を行ったという経緯もある。

 いしざかさんは同クラブと交流があり、6年前から「慶州ナザレ園」を歌っている。「曲は故郷への思いや夫を失った悲しみ、わが子へのいとしさを歌っている。かつてマスコミでナザレ園を取り上げた時期もあったが、忘れられつつある。これからも歌い続けていきたい」としている。

 現在、ナザレ園には25人ほどが暮らしているが、平均年齢は90歳を超えている。コンサート開催に助力し、25年にはナザレ園を慰問した同クラブの元会長、吉田勝美さん(65)は「いずれ消えゆく施設だが、日韓の歴史の中で置き去りにされた人たちがいることを知ってほしい」と強調した。(椎名高志)