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ミカンコミバエ急増に困惑 奄美大島、果物出荷制限へ

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ミカンコミバエ急増に困惑 奄美大島、果物出荷制限へ

収穫期が近いポンカン。農家は危機感を募らせる=鹿児島県・奄美大島の龍郷町

 根絶したはずの害虫ミカンコミバエが鹿児島県・奄美大島で急増し、島の農家を困惑させている。果物への幼虫の寄生が懸念されるため、国はまん延防止で12月13日から島外への出荷制限を決定した。特産品のタンカンなどはこれから収穫期を迎えるだけに、経済的な損失を心配する声が出ている。

 「対応が遅きに失する」

 今月9日に奄美大島で開かれた農林水産省の出荷制限の説明会。会場に用意された約250席は農家らで満席となり、怒りの声が相次いだ。

 ミカンコミバエは昭和61年に国内の根絶が確認された。だが、その後も、東南アジアや台湾から飛来したとみられる個体が毎年数匹島内で捕獲されている。

 昨年は0だったが、今年は7月に20匹を確認し、9月から今月2日までに570匹に急増した。農水省が出荷制限を決めたのは同4日だった。説明会で「7月時点で危ないと思わなかったのか」との質問に、農水省の担当者は「対応を改善する」と陳謝した。

 ミカンコミバエは主にかんきつ類につく害虫で、果実に卵を産み付け、寄生した幼虫が果実を食べると腐ってしまう。今年の急増は「島内で繁殖している可能性がある」(農水省)だけに事態は深刻だ。

 県は16日からハエの生息が見込まれる山間部に殺虫剤などを染みこませた5センチ四方の誘殺板12万枚をヘリコプターで散布して駆除を強化。農水省は12月13日から平成29年3月末まで果物の島外への出荷を島のほぼ全域で制限するが、ジュースなどの加工業者らの需要に配慮し、島内の流通は認める。

 奄美市でタンカンを育てる平井孝宜氏(34)は「早期根絶を目指すなら島内流通も規制するべきだ。国のあいまいな方針に違和感がある」と指摘した。別の農家も「例外があるとまん延を助長する。われわれは全ての果物を廃棄する覚悟がある」と強調する。

 亜熱帯性のかんきつ類は奄美大島の気候に合った重要な特産品だ。ポンカンは今月下旬、タンカンは年明けからそれぞれ収穫期を迎える。26年の生産額はポンカン2560万円、タンカン3億4520万円に上る。

 農水省はスモモやマンゴーなど他の作物も、収穫時期に併せて順次出荷制限する。対象作物は国が県を通じて買い上げて廃棄するが、「適正な価格が示されるか疑問だ」と懐疑的な農家は多い。

 JAあまみの代表らは19日、農水省を訪れ、森山裕農水相に補償に関する陳情書を提出。森山氏は「どういう補償額にするか農家のみなさんらと協議の上、決めたい」と述べた。