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縄文の瀬戸内海温暖化を裏付け 岡山の貝塚から現在生息しない魚の耳石

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縄文の瀬戸内海温暖化を裏付け 岡山の貝塚から現在生息しない魚の耳石

 国史跡の彦崎貝塚(岡山市南区彦崎)で、現在の瀬戸内海には生息せず温暖な海に棲む魚「トウカイハマギギ」の耳石を国内の貝塚で初めて発見したと、岡山市教育委員会が発表した。耳石は魚の頭部の三半規管内で平衡感覚や聴覚をつかさどり、魚によって特徴が異なる。市教委は「トウカイハマギギが捕られていたことは、縄文時代の瀬戸内海が温暖化していたことを裏付ける」と話した。

 今回見つかったのは、トウカイハマギギの耳石2個(大きさ約1センチ)とホンニベの耳石3個(大きさ約2センチ)の計5個。トウカイハマギギの耳石は国内の貝塚では初の発見で、ホンニベの耳石発見は国内の貝塚で2例目という。いずれも現在の瀬戸内海には生息しておらず、東シナ海などの熱帯・亜熱帯の海に生息している。

 市教委は平成15年から彦崎貝塚の発掘調査を始め、奈良文化財研究所と出土品の共同研究を進めている。22年12月にトウカイハマギギの骨約50点を発見。さらに26年12月から縄文前期(約6千年前)の地層を今年4月にかけて調査した結果、魚の耳石120個が発見された。

 耳石は魚の種類によって模様や形、大きさが異なっているため、種類を識別できる。出土した耳石を調べた結果、5個がホンニベとトウカイハマギギのものと特定された。他はスズキなど現在も瀬戸内海に生息する魚の耳石だったという。

 共同研究に参加した耳石研究を専門とする大江文雄・同研究所客員研究員は「耳石から当時の瀬戸内海にホンニベなどがいたことを証明したのはひとつの成果といえる」と言及。市教委は「耳石によってどんな魚を当時の人々が食べていたのかが特定でき、新たな研究分野が確立するのでは」と話した。